ミノキシジルで体毛が濃くなる?多毛症が起こる確率や対処法を解説
ミノキシジル外用薬は、厚生労働省によりAGAやFAGAに対する効果があると認められている数少ない有効成分の1つです。抜け毛を予防する従来のAGA治療薬と併用すると、効率的にAGAやFAGAにともなう薄毛を改善する効果が期待できます。
しかし、ミノキシジルを使用して薄毛治療を行っている方のなかには、体毛が増える多毛症を発症する方も少なくありません。こちらの記事では、ミノキシジルで体毛が濃くなるメカニズムや発症率、対処法について解説します。
目次
ミノキシジルとは?
ミノキシジルは、AGAやFAGAの治療薬に用いられている有効成分の1つです。もともと高血圧の治療薬としてアメリカで用いられていましたが、服用した患者に発毛が見られたため低用量のミノキシジル外用薬が開発されました。
日本では、第一類医薬品のミノキシジル製剤およびジェネリック医薬品が各製薬会社・化粧品メーカーから販売されています。
効果
ミノキシジルの主な効果は発毛です。ミノキシジルには、ヘアサイクルの休止期にある髪の毛乳頭細胞にアプローチして成長期へと移行させ、さらに成長期を延長する働きがあります。
生涯に繰り返されるヘアサイクルの回数には上限があるため、ミノキシジルにより成長期が延長されると、将来の薄毛リスクを減らす結果にもつながります。
副作用
ミノキシジルには外用薬と内服薬の2種類があり、それぞれの主な副作用は以下の通りです。
ミノキシジル外用薬 | 頭皮のかゆみ・赤み、発疹、接触性皮膚炎など |
ミノキシジル内服薬 | 動悸・息切れ、手足や顔のむくみ、多毛症、初期脱毛など |
外用タイプのミノキシジルは頭皮に塗布して使用するため、主に適用部位のかゆみや赤みといった症状が見られます。
内服タイプのミノキシジルは服用すると有効成分が血液を通じて全身に送られるため、頭皮だけでなく全身症状が見られます。
ミノキシジル外用薬を服用した方にもわずかながら多毛症のリスクがありますが、ミノキシジル内服薬ほど一般的な副作用ではありません。
ミノキシジルで体毛が濃くなるメカニズム
ミノキシジル外用薬に発毛効果が期待できるのは、毛乳頭細胞にアプローチしてヘアサイクルを成長期に移行・延長させるためです。体毛(ムダ毛)が生えて伸びる仕組みも、基本的には髪の毛のケースと同様です。
ミノキシジル外用薬は頭皮に塗布して使用するため、体毛が濃くなるリスクはそれほど高くありません。しかし、ミノキシジル内服薬を服用すると有効成分が血液を通じて全身へと送られるため、体毛が濃くなるリスクが高くなるのです。
ただし、ミノキシジル内服薬の服用によって、体毛だけが濃くなる可能性は低いと考えられています。また、ミノキシジル内服薬の副作用により、髭が濃くなるケースもあります。
もともとヒゲが濃い方はもちろん、髭が薄い方にとってはミノキシジル内服薬の服用で体毛が濃くなるのをデメリットに感じるでしょう。
女性も体毛が濃くなる可能性がある
ミノキシジル内服薬を服用すると、女性であっても体毛が濃くなる可能性があります。日本では外用薬としてのミノキシジルしか認可されておらず、女性に関しても例外ではありません。
しかし、アメリカで行われた臨床試験によると、ミノキシジル外用薬では十分な発毛が見られない場合、ミノキシジル内服薬が女性型脱毛症の有力な代替薬となる可能性が示唆されています。
ただし、ミノキシジル内服薬は一般的な外用薬に比べて副作用のリスクが高いため、自分の判断ではなく医師の指示の下で服用する必要があります。
ミノキシジルによる多毛症の発症率
次に、ミノキシジルと多毛症との関係について見ていきましょう。ミノキシジルによる多毛症の発症率に関して、厚生労働省の資料「ミノキシジルのリスク区分について」を参考に解説します。
多毛症が発症する頻度と確率は?
局所に塗布するタイプのミノキシジル外用薬ですが、有効成分が体内に吸収されると一部は肝臓で代謝されると考えられています。ミノキシジル外用薬の使用で体毛が濃くなる可能性があるのはそのためです。
ただし、ミノキシジル外用薬の利用により多毛症が起こる確率は、0.03%程度とされています。1万人に3人程度の発症率のため、それほど高くはないと言えるでしょう。
ミノキシジル内服薬に関しては国内非承認薬のため、どれくらいの確率で多毛症を発症するのか、エビデンスのあるデータはありません。
しかし、海外におけるデータではミノキシジル内服薬による多毛症が一般的な副作用とされていることから、多くの方に多毛が見られると考えられます。
いずれにせよ、ミノキシジル外用薬よりも、ミノキシジル内服薬の方が多毛症のリスクが高いことは間違いないと言えるでしょう。
多毛症はいつまで続くのか?
ミノキシジル内服薬を服用してからおよそ1〜3ヶ月ほどすると、顔や手足をはじめとする全身の体毛が濃くなりはじめる可能性があります。
頭髪に関しては、ミノキシジルの効果が出るまでにおよそ半年から1年ほどかかるとされていますが、体毛が髪の毛よりも早く増え始めるのは、体毛の毛周期がヘアサイクルよりも短いためです。
個人差はありますが、一般的に男性のヘアサイクルは3〜5年、女性のヘアサイクルはおよそ4〜6年とされていますが、手足の体毛はおよそ3〜4ヶ月で生えかわります。
多毛症はミノキシジル内服薬を服用している間は続きますが、服用をやめると数ヶ月ほどして体毛の濃さが気にならなくなります。
ミノキシジルの服用で体毛が濃くなった時の対処法
ミノキシジルによる多毛症は医薬品の効果が出ている証拠でもありますが、体毛の濃さが気になる方は次のように対処するのがおすすめです。
- ミノキシジルの服用方法を見直す
- 脱毛などの処理を行う
- 医師に相談をする
ミノキシジルの服用方法を見直す
ミノキシジルの服用にともなう多毛症が気になる方は、服用方法を見直すと良いでしょう。AGAクリニックでミノキシジル内服薬や外用薬を処方してもらっている方は、医師と相談して用量を減らす方法があります。
ミノキシジル内服薬でAGAやFAGAの治療を行っている方は、ミノキシジル外用薬に変更する方法も考えられるでしょう。
ミノキシジル外用薬を使用している方は、頭皮から顔に外用液が垂れないように注意してください。外用液が顔に垂れると、局所の体毛増加につながる可能性があります。
また、ミノキシジル外用薬を塗布したら手を洗い、外用液が身体に付着しないようにしましょう。外用液の使用を頭皮のみにとどめると、体毛の増加を最小限度にすることが可能です。
脱毛などの処理を行う
ミノキシジルの使用にともない体毛が濃くなった際には、美容クリニックやサロンなどで脱毛などの処理を行うと良いでしょう。
脇の下の体毛が気になる女性の場合は、医師が在籍しているクリニックで永久脱毛の施術を受ける方法もあります。
最近はヒゲ脱毛を専門とした男性向けのクリニックも増えているため、髭の濃さが気になる男性は相談してみるのがおすすめです。
また、美容クリニックやサロンに行かなくても、自分でカミソリを使用してムダ毛を処理する方法もあります。カミソリでムダ毛を処理しても体毛が太くなることはありません。
医師に相談をする
AGAクリニックでミノキシジルを処方してもらっている方は、体毛が濃くなった際の対処法を医師に相談すると良いでしょう。
ミノキシジルは海外から輸入したり、個人輸入代行サイトで購入したりする方法もありますが、クリニックで処方してもらうと不安がある際に相談できる点がメリットとなっています。
ミノキシジルと体毛に関わるQ&A
ミノキシジルと体毛に関しては、以下2つの質問が多く寄せられています。
- 体毛が戻る可能性はあるのか?
- 永久脱毛しても体毛が濃くなるのか?
体毛が戻る可能性はあるのか?
ミノキシジルに限った話ではありませんが、AGAやFAGAの治療は根気良く続ける必要があるため、治療薬も長期にわたり使用し続けるのが原則です。
しかし、一定の発毛効果が見られた方や、年齢相応の毛髪量を取り戻した方、または加齢により薄毛が気にならなくなった方は、ミノキシジルの利用を中断するケースもあるでしょう。
ミノキシジルの利用を中断すれば発毛効果とともに、体毛が増えるリスクも減少します。服用を中断してすぐに体毛が薄くなる訳ではありませんが、時間をかけて元に戻っていくと考えられます。
ミノキシジルの服用を中断すると再び薄毛が進行するため、いきなり服用をやめるのではなく、少しずつ用量を減らしたり、現状維持目的の治療薬に変更したりするのがおすすめです。
永久脱毛しても体毛が濃くなるのか?
ミノキシジルの服用で体毛が濃くなった際の対処法の1つが永久脱毛です。近年では女性だけでなく、男性も専門のクリニックで永久脱毛の施術を受ける方が増えています。
エステサロンでの脱毛とは異なり、医療機関で行われるレーザー脱毛は比較的少ない回数でムダ毛をなくす効果が期待できます。
しかし、一度の施術ですべてのムダ毛を処理できるわけではありません。一般的には毛周期に合わせて5〜8回程度の施術が必要とされています。
永久脱毛の施術期間中にミノキシジルを服用すれば体毛が濃くなる可能性がありますが、次回の施術で処理してもらえば問題ないと考えられます。
AGA治療に関するご相談なら新宿AGAクリニックへ
ミノキシジルの使用にともなう体毛の増加は、医薬品の効果があらわれている証拠でもあります。一般的にミノキシジル内服薬を服用するケースでは、外用薬を塗布するケースに比べて体毛が増加するリスクが高いと考えられます。
ミノキシジル内服薬による体毛の増加が気になる方は、外用薬に切り替えたり美容クリニックで脱毛の施術を受けたりすると良いでしょう。
また、ミノキシジルを医療機関で処方してもらうと、トラブルがあった際にすぐに相談できるため安心です。ミノキシジル内服薬をはじめ、AGA治療に関するご相談がある方は、新宿AGAクリニックにお問い合わせください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医