女性の薄毛に有効なスピロノラクトンってどんな薬?
近年、20代・30代の女性でもストレスや生活習慣の乱れにより薄毛に悩まれる方が増えています。
当院では『FAGA(女性男性型脱毛症)』の治療薬としてスピロノラクトンを処方しております。
今回は、女性の薄毛に有効なお薬スピロノラクトンについて詳しくお話ししていきます。
目次
『FAGA(女性男性型脱毛症)』とは
FAGAの正式名称は、Female(女性)、Androgenetic(男性ホルモン、遺伝)、Alopecia(脱毛症)
女性の男性ホルモンと遺伝による脱毛症という意味になります。
正常な髪の毛のヘアサイクルは
①成長期2~6年(毛が生え、成長が止まるまでの時期)
②退後期1~2週間(成長が止まり休止期を迎えるまでの時期)
③休止期3~4か月(髪の毛の成長が完全に止まり成長期に向けて準備を行う時期)を一つの毛根で15~20回程度繰り返します。
男性の薄毛の原因AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの「テストステロン」が、頭頂部や前頭部に多く存在する5αリラクターゼという還元酵素と結びつき悪玉の男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)に返還されることにより頭髪の毛母細胞に作用しヘアサイクルを数か月~1年に縮め薄毛を進行させます。
女性の薄毛の原因FAGA(女性男性型脱毛症)の主な原因はホルモンの減少です。
女性の体内にも男性ホルモンが存在します。
女性ホルモンのエストロゲンには髪の毛の成長を促し、髪の成長期間を持続させる働きがあり加齢と共にエストロゲンが減少し男性ホルモンが優位になることでヘアサイクルが短くなり抜け毛を促します。
また、過度なストレスや生活習慣の乱れ(睡眠不足など)により自律神経が乱れることで交感神経が優位になりホルモンバランスがくずれ男性ホルモンが優位になり薄毛の原因となります。
男性のAGAの場合は前頭部(生え際)や頭頂部が局所的に薄くなりますが、女性の場合は全体的に髪が減っていく『びまん性の脱毛』が特徴で「びまん」とは「広範囲に広がる」という意味です。男性のように前頭部や頭頂部で局所的に脱毛が進むことは無く、頭頂部を中心広範囲で薄くなるのが特徴です。
『FAGA(女性男性型脱毛症)』の特徴
では、FAGA(女性男性型脱毛症)の症状にはどんな特徴があるのでしょうか。
下記の項目がい多くあてはまる場合はFAGAの症状が出ている可能性がありますので、セルチェックしてみてください。
・髪の毛が細くなった
・髪にハリ・コシがない
・髪にボリュームがない
・抜け毛が多い
・額が広くなった
・髪が脂っぽい
・分け目が目立つ
スピロノラクトンってどんな薬?
スピロノラクトンは古くから、高血圧や心不全の治療薬として使われてきました。
スピロノラクトンは利尿作用効果が高く血管内の水分を尿として対外に排出することで血管内の圧が下がり血圧を下げます。
心臓の中に戻ってくる血液量が多いと心臓に大きな負担がかかります。
利尿作用により血圧が下がり心臓への負荷が減り心不全を治す事が出来るのです。
スピロノラクトンは「FAGA」になぜ効果があるでしょう?
スピロノラクトンは成人女性のニキビ治療薬としても使われています。
利尿効果とは別に男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑える作用によって大人のニキビを改善させます。ニキビ治療には1日あたり150mg~200mgを数週間使用し徐々に量を減らしていきます。徐々に減らしていくことでリバウンドが起きないようにしていくのです。スピロノラクトンを服用することで男性ホルモンを抑え皮脂の量を抑えることによりニキビの治療を行います。
これだけの用量を使用することによって月経周期が短くなり無月経になる場合もあります。そのためホルモン製剤を使用し月経サイクルを正常化させる必要があります。
ニキビ治療には数多くの方法があり専門医による適切な見極めが必要なため専門クリニックでの相談、治療をおすすめします。
女性の薄毛治療では主に25mg~100mgの低用量を使用します。
女性の薄毛は女性ホルモンより男性ホルモンが優位になることでヘアサイクルが短くなり起こります。
スピロノラクトンは男性ホルモンの産生自体を抑制し、男性ホルモンの作用する受容体を抑え男性ホルモンが働けなくなります。
スピロノラクトンは健康な髪を生成するために大切な成長期を長くし髪の毛のヘアサイクルを改善させる効果があるのです。
スピロノラクトンの副作用について

一般的な副作用
頻尿、口渇、低血圧、生理不順、乳房痛、多毛など
重大な副作用
不整脈、胸痛、吐き気、全身倦怠感、脱力、頭痛、発心、高熱、手足や顔のむくみなど
スピロノラクトンは投与量が多ければ多いほど副作用が起こりやすいお薬です。
当院が推奨するFAGA治療での1日の服用量は25mg~100mgと低用量のための副作用が問題になることはほぼありません。
もしも副作用が出た場合は内服の中止や減量などの対策を行うため医師にご相談頂きます。
まとめ
スピロノラクトンは、ホルモンバランスを調整することでFAGAの治療に有効なことがわかりました。
FAGAの治療に使用する場合、長期間の投与が必要なため長期的な安全が重要となります。
低用量のスピロノラクトンは長期的な使用でもFAGAの治療薬として安心安全な薬剤なのです。
新宿AGAクリニックでは、AGA治療はもちろん、円形脱毛症や抜毛症、女性の薄毛(FAGA)まであらゆる薄毛のお悩みに対応できるクリニックです。
お一人で悩まずお気軽に当院までご相談ください。

【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医