毛について
毛とは動物にとって体を守り姿や形を表すとても重要な役割を果たします。
人間にとっても同じことが言えます。特に頭髪や眉毛は容姿や表情などに関係が深く心理的な意味もあり社会にも影響するものです。
頭髪は頭を物理的な外力から、黒い毛は紫外線から皮膚を守ってくれます。
長い髪の毛は保温の効果がありますが、黒人のカールした黒髪は強い紫外線の予防と風通りを良くして冷却効果もあると言われています。
その一方、毛の太さや色、長さ、柔軟さは人種や部位によって異なりそれらの性質は遺伝的に決まっているるものです。今回は人の【毛】の作られ方や構造についてお伝えしていきます。
私たちが【毛】と呼んでいる部分は皮膚の表面に出ている毛幹と言われる部分です。
木に例えると幹の部分です。幹の下には根があり、皮膚の下にある部分を毛根と言います。毛根の末端は丸みを帯びここを毛球と言います。毛球の下部には窪みがあり毛乳頭と言い非常に多くの毛細血管が入り込み周りも覆っています。
毛母細胞と毛色素細胞はここから栄養分を受けとり細胞分裂して毛が成長したり、毛髪に色を付ける色素が作られているとても重要な部分です。
髪の毛1本は十数万本の繊維の集まりです。
お母さんのお腹の中で妊娠9週頃に毛包の発生は始まり、
頭の方から下半身のほうへ徐々に作られていきます。そして胎生4~5か月には毛の生えない部位を除いてほぼ全身に毛包が出来上がり、一定のリズム(成長期⇒退行期⇒休止期)で成長と退縮を繰り返していきます。
頭髪の場合、成長期(毛を作り伸ばしている期間)が約2年~6年、退行期(成長が止まって毛球部分か固くなっていき抜ける準備をする期間)が約2~3週、休止期(退行期でどんどん押し上げられてきた毛が、洗髪やブラッシング等で抜けていく期間)が約3ヶ月位です。
毛周期の割合は85~95%が成長期毛、退行期毛が約1%位、休止期毛が10%位と考えられています。休止期から成長期に移行するまでの3か月の間に抜ける量は1日50~100本程度が生理的な、生え替わりに伴う脱毛量ということになりますが、毛周期は色々な環境下(病気や薬の副作用もその一つです)で変化するとも言われていますので、数値が常にぴったり合うとは限りません。
人間も動物と同様に季節と共に成長期毛の比率は変動し、春は高く秋には低下しますので、秋頃に抜け毛が多くなったと感じる方もいらっしゃると思いますが、科学的に正しいサイクルという事です。
頭髪の成長速度は1日あたり0.4㎜程度で毛乳頭の直径と毛の太さが比例し、色は個人差がありますが小児期は、やや薄い黒褐色で思春期には黒髪になります。中年から白髪が混じり高齢では全体が白髪になっていきます。
白髪のメカニズムは毛母メラノサイトの働きが低下し、さらには毛母メラノサイトが無くなってしまうためです。毛周期での毛根再生時に毛母メラノサイトも再生されるのですが、この再生がうまくいかなくなります。
毛母メラノサイトの寿命や働きは遺伝的に決まっていて健康な状態でも年齢と共に消失していきます。
また栄養状態が悪かったり、貧血が続くと毛の色が薄くなる事があります。
海藻やサプリメントで白髪を防ぐことはできず1度出来てしまった白髪に色を回復させる方法は、毛を染める事しかありません。
白髪になる年代を遅らせる食品は銅イオンを含んだ甲殻類(エビやカニ)貝類、ココア等があります。
気になる方は平素からこのような食品を摂るよう心がけてみてはいかがでしょうか。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医