亜鉛の過剰摂取は多くの副作用リスクあり|適切な量や薄毛対策に適した栄養素とは
必須ミネラルの一種である亜鉛は、髪の毛や肌の健康を維持し、皮膚や粘膜の状態を良好に保つために欠かせない栄養素とされています。抜け毛の改善にも効果が期待できるため、普段から意識して亜鉛を摂取している方もいらっしゃることでしょう。
しかし、亜鉛に限らず特定の栄養素を過剰に摂取した場合、思わぬ健康被害を招く可能性があります。こちらの記事では、亜鉛を過剰摂取した場合のリスクや、1日に摂取する亜鉛の目安、亜鉛以外の薄毛に有効な栄養素について解説しています。亜鉛の適切な摂取量や薄毛の改善法について知りたい方は参考にして下さい。
目次
亜鉛を1日2g以上とると過剰摂取
厚生労働省の統合医療に係る情報発信等推進事業の公式サイトによると、亜鉛の適切な摂取量は成人男性で11㎎、成人女性で8㎎とされています。
仮に1日あたり2g以上の亜鉛を摂取した場合、急性中毒を起こす可能性もあるため注意が必要です。ここでは亜鉛の摂取に関して次の2点を解説しています。
- 食事からの摂取の場合は過剰摂取は起こりにくい
- サプリメントや亜鉛強化食品に注意
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
食事からの摂取の場合は過剰摂取は起こりにくい
亜鉛は様々な食品に少しずつ含まれているため、栄養バランスを考慮した食事メニューを考えることが重要です。ただ自然の食品にふくまれている亜鉛の量はそれほど大量ではないため、日常の食事をしていて亜鉛を過剰摂取するような可能性はまずないでしょう。
亜鉛をもっとも豊富に含む食品が牡蠣とされていますが、牡蠣1個に含まれる亜鉛の量は13.2㎎に過ぎません。仮に牡蠣で亜鉛の摂取量2gをオーバーするなら、牡蠣を150個は食べなければならない計算となります。このことからも、通常の食事で亜鉛の過剰摂取が起こらないことが分かるでしょう。
サプリメントや亜鉛強化食品に注意
通常の食事をしている場合、亜鉛を過剰摂取するような可能性はまずありません。しかし、注意しなければならないのがサプリメントや亜鉛強化食品です。
サプリメントや亜鉛強化食品を利用した場合、日常の食事で不足しがちな亜鉛を手軽に摂取できます。ただし、用法・用量を守らずにサプリメントや亜鉛強化食品を過剰摂取した場合、急性中毒を起こし様々な身体的リスクを招く可能性があります。
亜鉛の過剰摂取で様々な副作用のリスクがある
サプリメントや亜鉛強化食品を過剰に摂取した場合、様々な副作用を発症するリスクが高くなります。主な副作用としては以下のような例が挙げられます。
- 頭痛や倦怠感
- 胃腸の不調
- 貧血
- 免疫力の低下
- 神経障害
- コレステロールのバランスの乱れ
サプリメントなどで亜鉛を過剰に摂取した場合、頭痛や発熱、全身の倦怠感といった症状が起こりやすくなります。また胃腸の不調に伴って吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの排便障害を引き起こす可能性もあります。
亜鉛を過剰に摂取した場合、銅の吸収が阻害されるため、成長障害や神経障害を引き起こしたり、貧血になるリスクが高くなったり、免疫力の低下を招いたりする恐れもあるため注意が必要です。
その他にも、亜鉛の過剰摂取によってコレステロールのバランスが乱れ、いわゆる善玉コレステロール(HDL)の減少を招く可能性もあります。
亜鉛の過剰摂取は薄毛の原因になることも
私たちの毛髪はタンパク質の一種であるケラチンから作られています。体内に摂取されたタンパク質は一度アミノ酸レベルに分解されますが、アミノ酸によって再合成され髪の毛が作られます。
そのため日常の食事に亜鉛が不足している場合、髪の毛の合成が円滑に進まず、抜け毛や薄毛を招く可能性が高くなります。一方、亜鉛の過剰な摂取も髪の毛にとって悪影響を及ぼすと考えられています。
サプリメントなどで亜鉛を過剰に摂取した場合、髪の毛の成長に必要な栄養素が毛根に送り届けられにくくなり、かえって抜け毛や薄毛のリスクを高めるのです。栄養素は不足することはもちろん、過剰に摂り過ぎても様々なトラブルの元になるという良い例といえるでしょう。
亜鉛の推奨摂取量は性別や年齢によって異なる
亜鉛の推奨例について冒頭で少し触れましたが、推奨摂取量は性別や年齢ごとに厚生労働省によって細かく設定されています。耐容上限量と合わせて紹介します。
年齢 | 推奨摂取量 | 耐容上限量 |
生後6ヶ月 | 2㎎ | |
生後7~12ヶ月 | 3㎎ | |
1~3歳 | 3㎎ | |
4~8歳 | 5㎎ | |
9~13歳 | 8㎎ | |
14~18歳男性 | 11㎎ | |
14~18歳女性 | 9㎎ | |
成人男性 | 11㎎ | 40~45㎎ |
成人女性 | 8㎎ | 30~35㎎ |
妊婦 | 11~12㎎ | |
授乳婦 | 12~13㎎ |
男女とも青少年期に亜鉛の推奨摂取量が高く設定されており、年齢とともに推奨摂取量は少なくなっていきます。また女性に比べた場合、男性の方がより積極的に亜鉛を摂取するように推奨されています。ただ、男女差はせいぜい数㎎程度でしかないため、それほど気にする必要はないでしょう。
亜鉛は適切に摂取すれば薄毛対策にもなる
亜鉛を適切に摂取した場合、薄毛対策になるとされています。その理由としては次の3点が挙げられています。
- 亜鉛は髪を構成する成分の1つ
- 育毛サイクルを整える働きが期待できる
- AGA進行を止める働きも
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
亜鉛は髪を構成する成分の1つ
亜鉛の適切な摂取が薄毛対策になる理由の1つが、亜鉛が髪の毛を構成する成分の1つだからです。髪の毛はタンパク質から作られているのですが、食事で摂取したタンパク質がそのまま髪の毛になる訳ではありません。
食事で摂取したタンパク質は、体内の酵素の働きによってアミノ酸に分解されます。アミノ酸は体内の様々な箇所へと送られ、必要となる身体の部分を作る原材料となります。
髪の毛の場合はアミノ酸がケラチンに再合成されて作られます。アミノ酸がケラチンへと変化する際に重要な働きをするのが亜鉛です。そのため亜鉛を適切に摂取した場合、健康な髪の毛の成長を促進し、薄毛を予防・改善する効果が期待できるのです。
育毛サイクルを整える働きが期待できる
亜鉛には育毛サイクルを整える働きも期待されています。育毛サイクルは大きく分けると、次の3期に分類されます。
成長期 | 毛母細胞が活発に分裂し髪の成長を促す時期。育毛サイクルの大部分を占める |
退行期 | 毛母細胞の分裂が鈍くなる時期。育毛サイクルのおよそ1%を占める |
休止期 | 毛母細胞の分裂が完全に停止し、髪が抜け落ちるのを待つ時期。育毛サイクルの10~15%を占める |
AGAを発症した場合、育毛サイクルの成長期が短くなるため、髪の毛が十分に育たない内に抜け落ちるリスクが高くなります。亜鉛の適切な接種を行った場合、育毛サイクルを整え、正常な周期に戻すことが期待されています。
AGA進行を止める働きも
亜鉛を適切に摂取した場合、AGAの進行を止める働きも期待できます。AGAは次のようなメカニズムで発症および進行します。
- 男性ホルモンの一種であるテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)へ変化する
- ジヒドロテストステロンがアンドロゲン受容体に結合しTGF-βを生成する
- TGF-βによって髪の退行期が早く訪れ抜け毛のリスクが高まる
テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)へと変化する際、重要な働きをするのが5α-リダクターゼと呼ばれる酵素の一種です。
亜鉛には5α-リダクターゼの働きを抑制する作用があるため、適切な量を摂取すると抜け毛の原因となるTGF-βの生成を妨げ、AGAの進行を遅らせることが期待できるのです。
亜鉛以外の栄養素を適切に摂取しより有効な薄毛対策を
亜鉛には乱れた育毛サイクルを整え、5α-リダクターゼの働きを阻害し、抜け毛の原因となるTGF-βの生成を妨げる効果が期待されています。
その効果をさらに高めるためには、亜鉛以外の栄養素も適切に摂取することが重要です。髪の健全な成長をサポートしたり、頭皮環境を整えたりするためには、次のような栄養素も日頃から摂取すると良いでしょう。
- アミノ酸
- ビタミン
- イソフラボン
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
アミノ酸
髪の毛は主にタンパク質の一種であるケラチンから作られています。ケラチンは複数のアミノ酸で構成されていますが、もっとも多く含まれているアミノ酸がシスチンです。
その次に多く含まれているアミノ酸がグルタミン酸とアルギニンで、シスチンと合わせて3つでケラチンの構成要素の4割を占めています。そのため、日常的にシスチンやグルタミン酸、アルギニンを積極的に摂取することで、髪の毛の成長をサポートすることが可能です。
シスチンは肉のレバーやニンニク、玉ねぎなどに多く含まれており、グルタミン酸はコンブや味噌、チーズなどに、アルギニンはマグロやウナギ、大豆などに多く含まれています。これらの食品を日々の食事にうまく取り入れましょう。
ビタミン
薄毛対策をするためにはビタミンを積極的に摂取することも重要です。特に以下のビタミンには、髪の毛の成長をサポートしたり、頭皮環境を改善したりする効果が期待されています。
ビタミンの種類 | 期待できる効果 | 多く含む食品 |
ビタミンA | 皮脂の分泌量をコントロールする | ほうれん草・人参・うなぎ・卵など |
ビタミンB2 | 皮膚や髪の毛などの再生に役立つ | 豚レバー・ブリ・モロヘイヤ・牛乳など |
ビタミンB6 | アミノ酸の再合成をサポートする | カツオ・マグロ・豚ヒレ・バナナなど |
ビタミンC | 頭皮や血管を丈夫にする | アセロラ・赤ピーマン・キウイフルーツなど |
ビタミンE | 毛細血管を拡張し血液循環を促進する | アーモンド・落花生・ひまわり油など |
ビタミン類は肉類や魚類、野菜類、果物、乳製品、豆類などに多く含まれているため、日常的に様々な食品をバランスよく摂取するよう心がけましょう。
イソフラボン
薄毛対策にはイソフラボンも効果的です。イソフラボンには女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た働きがあることで知られています。
女性の髪の毛が男性に比べて艶やかで豊かなのは、エストロゲンの働きによります。更年期に入るとエストロゲンの分泌量が減少するため、女性にも薄毛が見られるようになるのです。
男性の体内でもわずかながらエストロゲンが分泌されているため、イソフラボンを摂取すると相対的に抜け毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の割合が減少し、AGAの進行を妨げる効果が期待できるのです。イソフラボンは豆腐や納豆を始めとした大豆製品に多く含まれています。
栄養素で薄毛の悩み解決が困難なら新宿AGAクリニックへ
髪の成長や頭皮環境の改善に効果的とされる栄養素を摂取しても、抜け毛や薄毛のお悩みが解決しないようであれば、新宿AGAクリニックまでご相談ください。
AGAは食習慣だけでなく、遺伝やストレス、睡眠不足、疲労、運動不足など多数の要因が複雑に絡み合った結果として発症するケースがほとんどです。
そのため、食習慣の改善だけでは抜け毛や薄毛を改善できないことも少なくないのです。新宿AGAクリニックでは、抜け毛や薄毛がなぜ起こっているのか原因を突き止め、600パターンにおよぶ治療法の組み合わせから、1人1人に最適の治療を提供しています。
カウンセリングは無料で行っているため、抜け毛や薄毛に関するお悩みはもちろんのこと、費用に関する相談や治療法に関するご質問など、なんでもカウンセラーまでお尋ね下さい。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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