内科系自己免疫疾患と円形脱毛症の関係とは?
円形脱毛症がなかなか治らないとお悩みの方は多くいらっしゃいます。
当院は積極的に円形脱毛症の治療を行っていることからご相談者も増えております。
そのような円形脱毛症の患者さんの中には、甲状腺の病気や膠原病といった内科系の自己免疫疾患を併発している可能性も否めません。
今回は甲状腺の病気と円形脱毛症の関係についてお話していきたいと思います。
目次
円形脱毛症とは?
円形脱毛症は、髪の毛を作るもとになる毛包のうち「毛根」と呼ばれる部分が炎症により破壊されることにより生じます。
硬貨のような円形の脱毛斑ができるのが特徴ですが、重症の場合は脱毛斑がどんどん大きく広がっていったり、脱毛斑の数が増えてしまうこともあります。重症の場合には体毛も含めて全身の毛が失われることもあります。
円形脱毛症は、自分の身体を細菌やウイルスといった外敵から守るために活躍する「リンパ球」と呼ばれる細胞が誤作動を起こし毛包を攻撃してしまうことによって生じると考えられています。このように本来攻撃する必要のない細胞が攻撃され発症してしまう病気を「自己免疫性疾患」といいます。
円形脱毛症と併発が疑われる自己免疫疾患とは?
では、自己免疫疾患にはどのような病気があげられるのでしょうか。
代表的な自己免疫疾患についてお話していきます。
膠原病
膠原病には様々な症状があり、疲れやすい・発熱・筋力低下・皮膚が硬くなる・発疹の出現の他、抜け毛も起きやすくなると言われています。
その他にも唾液の分泌量が減ったり、目が乾いたりといった自覚症状が現れるケースもあるようです。
自覚症状が強くない場合は、尿検査や血液検査によって初めて発覚することもあります。
膠原病は診断が遅れれば臓器の障害が進行し、治療が難しくなる可能性があるので注意が必要です。
疲れやすい・発熱・筋力低下などの症状が続く場合は、なるべく早く専門医への受診をおすすめします。
橋本病(甲状腺機能低下症)
橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起きている病気です。
橋本病は甲状腺の病気のなかでもとくに女性の割合が多く、男女比は約1対20~30程度と言われています。
年代では20歳代後半以降、とくに30~40歳代が多く、幼児や学童に発症するのはレアケースと言われています。
橋本病の原因は自己免疫の異常です。この自己免疫の異常がどのようなきっかけで起こるのか、いまだに解明されていません。自己免疫異常による炎症により甲状腺がはれたり、甲状腺機能異常を起こすことがあります。
この橋本病により、甲状腺の炎症が進行すると甲状腺の働きが悪くなり、甲状腺機能低下症となります。
甲状腺から分泌されるホルモンには毛母細胞を活性化させる働きがあるので、このホルモンの分泌が甲状腺機能の低下により減少すると脱毛につながる可能性があるのです。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病は甲状腺が腫れて血液中の甲状腺ホルモンが増える疾患(甲状腺機能亢進症)です。
甲状腺ホルモンが必要以上に作られてバセドウ病を発症すると考えられています。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を高めるホルモンであるため、このホルモンの異常高値によって代謝が異常に活発になることで、心身に様々な影響を及ぼします。
新陳代謝が活発過ぎて皮脂が増え、ニキビができたり、汗のため汗疹(あせも)ができやすくなります。
毛髪の新陳代謝も活発過ぎて、短く軟らかい毛が抜けていく脱毛症状が出る事があります。
円形脱毛症と甲状腺疾患は関連することがあり、円形脱毛症の8%に甲状腺機能異常が見られます。
下記のような論文も発表されています。
円形脱毛症患者で甲状腺疾患有病率高い
円形脱毛症は頻度の高い自己免疫疾患ですので、同じ自己免疫疾患であるバセドウ病や橋本病の併発が起きる可能性は高いです。
まとめ
円形脱毛症と聞くと「ストレス」という言葉が真っ先に浮かぶかと思いますが、科学的な証拠は実は確立していません。しかし、ストレスは上記のような自己免疫疾患を含め様々な病気の引き金となります。
できるだけ疲れをためないように工夫してみることも大切です。
また十分な睡眠を取り、タバコやアルコールは適量で嗜んで下さい。鉄、亜鉛など毛髪を作るもととなるミネラルやタンパク質をしっかりと摂取してバランスのよい食事を心がけましょう。サプリメントなどを有効に利用して髪に良い栄養を補給するのもおすすめです。
また、当院でも血液検査にて甲状腺に関する数値の検査が可能でございます。
疑いのある数値が出た場合には、当院での円形脱毛症治療と並行して専門医の受診をおすすめいたします。
新宿AGAクリニックでは、重症化した円形脱毛症の治療例も多数ございます。
お一人で悩ますお気軽にご相談下さい。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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