抜け毛の原因とは?原因になる食べ物や危険なサインなどを解説します
抜け毛は誰にでも見られる生理現象の1つです。1日あたり50本から100本の抜け毛は当たり前のように見られるものですが、急に抜け毛の量が増えた場合、心配になる方もいらっしゃることでしょう。
場合によっては、何らかの脱毛症の発症に伴い、抜け毛の量が増えることもあります。こちらのページでは、抜け毛が多くなる原因や、危険な抜け毛のサインについて解説しています。
抜け毛が気になる男性の方や女性の方、抜け毛を予防する方法が知りたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
危険な抜け毛のサインとは
抜け毛の原因について説明する前に、そもそも抜け毛がなぜ起こるのか、そのメカニズムについて知っておきましょう。原因が分かれば、その抜け毛が正常な抜け毛か、それとも異常な脱毛なのかの判断が付きやすくなります。
抜け毛には2種類ある
抜け毛には大きく分けて、ヘアサイクルによる正常な抜け毛と、ヘアサイクルの乱れに伴う異常な脱毛の2タイプがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ヘアサイクルによる自然脱毛
正常な抜け毛として挙げられるのが、ヘアサイクルによる自然脱毛です。ヘアサイクルとは、髪の毛が生えて抜け落ち、再び生えるといった周期を意味します。
健康な髪の毛のヘアサイクルは、平均すると3年から5年(女性の場合は4年から6年)とされており、そのうちの85%から90%を髪の毛の成長期が占めています。
髪の毛は毛包に存在する毛母細胞の分裂によって成長しますが、髪の毛の成長期には毛母細胞の分裂が活発に起こるため、1日に0.3ミリメートルから0.4ミリメートルの成長が見られます。
成長期をすぎると、次の髪の毛の退行期に入ります。退行期には毛乳頭細胞の働きが鈍くなり、毛母細胞の分裂も活発ではなくなってきます。
ヘアサイクルのおよそ1%(およそ2週間から3週間)を占める髪の毛の退行期が過ぎると、最後に髪の毛の休止期を迎えます。
ヘアサイクルの休止期を迎えると、毛乳頭細胞が収縮し、毛母細胞へと送られるため、髪の毛を成長させるためのエネルギー供給が遮断されます。
その後、毛包が毛穴から離れ、髪の毛が抜け落ちます。休止期はおよそ2ヶ月から3ヶ月とされており、ヘアサイクル全体で見るとおよそ10%から15%を占めています。
ヘアサイクルの乱れによる異常脱毛
危険な抜け毛として挙げられるのが、ヘアサイクルの乱れによる異常脱毛です。1日に100本以上の抜け毛が、長期に渡って続くようであれば、ヘアサイクルの乱れによって抜け毛を引き起こしている可能性があります。
ヘアサイクルといった観点から見た場合、異常脱毛が見られるような場合には、髪の毛の成長期が短くなり、退行期が早く訪れています。
このため、細くて弱々しい抜け毛や、毛根に盛り上がった部分(毛根鞘・もうこんしょう)がない抜け毛が多く見られるようになります。
抜け毛の主な原因
ヘアサイクルの乱れによる異常脱毛は、危険な抜け毛のサインということでした。それでは、なぜヘアサイクルが乱れると、抜け毛のリスクが高くなるのでしょうか。その原因としては、次のようなことが挙げられます。
生活習慣の乱れ
異常脱毛を引き起こす原因として考えられることの1つが、生活習慣の乱れです。例えば睡眠不足や疲労状態が継続すると、身体を回復させることにエネルギーが使われ、髪の毛を成長させるためのエネルギー不足に陥る可能性があります。
また、偏った栄養バランスの食事を続けたり、極端なダイエットを行ったりすることで、髪の毛を成長させるためのエネルギーが不足し、結果として異常脱毛を引き起こす可能性があります。
薄毛といった場合、男性に見られるものといったイメージを持たれる方もいますが、実際には過度のダイエットによる栄養不足で、髪の毛のボリュームが減少している若い女性も少なくありません。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れも、異常脱毛を引き起こす原因の1つです。例えば女性が更年期を迎えると、女性ホルモンの1種であるエストロゲンの分泌量が減少して、抜け毛の量が増えるようになります。
出産後の女性も急激なエストロゲンの減少により、一時的に脱毛症(分娩後脱毛症)を発症することが珍しくありません。
男性の場合は、男性ホルモンの1種であるテストステロンがより強力化し、ジヒドロテストステロンへと変化することで、AGA(男性型脱毛症)を発症するリスクが高くなります。
過度なストレス
異常脱毛を引き起こす原因としては、過度のストレスも挙げられます。ストレス状態が長く続くと、私たちの身体はサバイバルモードに切り替わるとされています。
サバイバルモードに切り替わると、私たちの身体では脳や筋肉を守るため、エネルギーを優先的に脳や筋肉へと供給します。その結果、髪の毛の成長に悪影響を及ぼすのです。
また、ストレス状態が続くと自律神経のバランスが乱れ、血行不良を引き起こします。そのことも、頭皮や髪の毛へとエネルギーが送られることを阻害します。
ヘアスタイルによる頭皮へのダメージ
ヘアスタイルによる頭皮へのダメージも、異常脱毛を引き起こす原因の1つです。例えばいつも同じ場所で髪の毛を結んだり、分け目を付けたりしていると、局所に牽引力が生じます。
牽引力が生じた場所では血行不良が起こるため、髪の毛の成長に悪影響を及ぼします。このようにして起こる異常脱毛のことを、牽引性脱毛症と呼んでいます。
過度な飲酒・喫煙
異常脱毛の原因としては、過度の飲酒や喫煙も挙げられます。多量のアルコールを摂取した場合、アルコールを分解するために体内の水分が多く使われます。
その結果、いわゆるドロドロ血液となり、頭皮へ向かう血液の循環が悪くなり、髪の毛の成長に悪影響を及ぼすのです。
また、タバコに含まれるニコチンには、毛細血管を収縮させる作用があります。頭皮には毛細血管が数多く存在しているため、タバコによって毛細血管が収縮すると、髪の毛を成長させるためのエネルギー不足に陥りやすくなるのです。
遺伝や病気の可能性
遺伝や病気によって、異常脱毛を引き起こす可能性もあります。例えば男性に見られるAGAは、遺伝的体質に左右されることが分かっています。
また、男女を問わず円形脱毛症を発症した場合、ある日突然のように、大量の髪の毛が抜け落ちることもあります。その他、甲状腺機能障害や膠原病、梅毒などに伴って異常脱毛を引き起こす可能性があります。
紫外線
紫外線も異常脱毛を引き起こす原因の1つです。紫外線には物質を破壊する強い力があるのですが、それによって頭皮にダメージを負うと、活性酸素によって毛母細胞の働きが悪くなります。
また、紫外線は髪の毛自体にもダメージを与えるため、枝毛や切れ毛といったトラブルも起こりやすくなります。
抜け毛の原因になる食べ物もある?
異常脱毛を引き起こす原因は様々ですが、食習慣の乱れも抜け毛のリスクを高めるということでした。では、抜け毛の原因となる食べ物はあるのでしょうか。
ジャンクフード
抜け毛のリスクを高める食べ物としては、ジャンクフードが挙げられます。ジャンクフードには大量の油分が含まれており、好んで食べていると皮脂の分泌量増加を招きやすくなります。
頭皮はもともと皮脂の分泌量が多い場所なのですが、過剰な皮脂が分泌された場合、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)の発症リスクが高くなります。
皮膚にはマラセチアと呼ばれる真菌の1種(常在菌)が棲んでいるのですが、マラセチアは皮脂をエサとしているため、皮脂量の増加によってマラセチアが異常繁殖を起こし、脂漏性皮膚炎を発症しやすくなるのです。
脂漏性皮膚炎を発症した場合、頭皮環境の悪化に伴い、抜け毛の量が増加するケースも少なくありません。
香辛料やカフェイン
香辛料やカフェインも、抜け毛のリスクを高める食品として知られています。少量を摂取するだけで抜け毛を引き起こすようなことはありませんが、香辛料やカフェインなどの刺激物を摂り過ぎると、自律神経のバランスが乱れ、抜け毛のリスクを高める可能性があります。
季節が原因の抜け毛もある?
冒頭でもお話ししましたように、毎日50本から100本の抜け毛が見られることは生理現象であり、特に心配することではありません。
ただ、季節によって一時的に抜け毛の量が150本から200本に増えることもあります。季節の変わり目には自律神経のバランスが乱れやすくなるため、それに伴って抜け毛の量を増すことも珍しくありません。
中でも秋から冬にかけて、抜け毛の量が一時的に増えるケースは少なくありません。その時期の抜け毛量増加は季節性の可能性があるため、推移を慎重に見守ることが重要です。
男性と女性とで抜け毛の原因は違う?
抜け毛の原因は男女で共通するものがあれば、男女で異なるものもあります。そこで、男女に特徴的な脱毛症の可能性について紹介します。
【例】急に抜け毛が増えたと気になる男性
男性の抜け毛が急に増えた場合、AGA(男性型脱毛症)を発症している可能性があります。先述したように、AGAは男性ホルモンの1種であるジヒドロテストステロンの濃度が濃くなることで、発症リスクが高くなります。
ジヒドロテストステロンは、男性ホルモン受容器であるアンドロゲンレセプターと結合して、抜け毛の原因となるTGF-βと呼ばれるサイトカインを産生します。
TGF-βは退行気誘発因子とも呼ばれており、産生量が増えるとヘアサイクルを乱して、髪の毛の成長期を短縮します。
このような毛穴が増えることで、徐々に弱々しい髪の毛が増え、抜け毛の量が増えるわけです。AGAを発症した場合、なるべく早めに対処しないと、薄毛が徐々に進行するため注意が必要です。
【例】急に髪の毛が抜けてしまう女性
女性の抜け毛の量が急に増えた場合、びまん性脱毛症を発症している可能性があります。びまん性脱毛症は、女性に見られる最もよくある脱毛症としても知られています。
びまんには広く蔓延るといった意味があり、男性の薄毛のように局所がはげ上がるのではなく、髪の毛全体のボリュームが減少し、地肌が透けて見えるといった症状を呈します。
びまん性脱毛症の原因としては、自律神経のバランスや、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。
まとめ
抜け毛は髪の毛の状態が健康な方であっても、1日に50本から100本程度見られるのは当たり前の現象です。また、季節によって一時的に抜け毛の量が増えることもあります。
ただ、1日に100本以上の抜け毛があまりにも長期に渡って続く場合、何らかの脱毛症を発症している可能性もあります。
特に男性の場合、AGA(男性型脱毛症)を発症すると、適切な治療を受けない限り、薄毛が徐々にですが確実に進行することを知っておきましょう。
薄毛治療専門のクリニックでは、男性だけでなく女性の薄毛治療を行っているところもあります。多くのクリニックでは無料カウンセリングも行っているので、抜け毛の量が心配な方は、1度相談してみると良いでしょう。
薄毛・抜毛などの髪の毛に関するトラブルは、新宿AGAクリニックにご相談ください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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