AGAの薬は何があるの?種類や効果、副作用まで薬について解説します
薄毛に悩まされている男性は多くいますが、その多くがAGAの発症に伴う薄毛となっています。
近年ではAGA治療を専門としたクリニックも増えていますが、投薬治療によって薄毛の改善を図るのが一般的です。
それでは、AGA治療薬にはどのような種類があるのでしょうか。また、薬局や通販で購入して、人に気づかれないように薄毛改善に取り組むことは可能なのでしょうか。
こちらのページでは、AGA治療に使われる薬の種類や効果、副作用の可能性、自己判断で海外製の治療薬を服用するリスクなどを紹介しています。
AGA(男性型脱毛症)とは?
AGAは英語のAndrogenetic Alopeciaを略したもので、直訳すると男性ホルモンに起因する脱毛症です。
日本では男性型脱毛症と呼ばれており、男性に見られる薄毛の大半が、AGAの発症に伴うものだと考えられています。
日本皮膚科学会によると、AGAは思春期以降におこる脱毛症で、徐々に進行するのが特徴とされています。
このため、AGAを発症した場合、適切な処置を講じない限り、薄毛が徐々にかつ確実に進行してしまいます。
AGAの治療法としては、投薬治療や植毛、メソセラピーなどが挙げられます。
AGAの薬の種類
AGAの症状や進行スピードは人によって異なりますが、最初は治療薬による改善を図るのが一般的です。そこで、AGA治療に用いられる代表的な治療薬を紹介します。
内服薬
AGA治療に用いられる薬は、大きく分けると内服薬と外用薬(塗り薬)に分類されます。初めに、内服薬の種類やその効果について紹介します。
プロペシア
プロペシアは、日本で用いられているAGA治療薬のパイオニア的存在です。プロペシアには有効成分としてフィナステリドが配合されているのですが、もともとフィナステリドは、男性に見られる前立腺肥大症の治療薬として開発されました。
ところが、フィナステリドを用いて前立腺肥大の治療を行っている男性に発毛が見られたことから、低用量のフィナステリド錠として、プロペシアが開発されるに至ったのです。
AGAの発症には遺伝的要因が大きく関わっているのですが、その1つとして5α-リダクターゼと呼ばれる酵素の活発度が挙げられます。
5α-リダクターゼに、体内の男性ホルモンであるテストステロンが反応すると、より強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)が産生されます。
ジヒドロテストステロンは、男性ホルモン受容器であるアンドロゲンレセプターと結合し、抜け毛を引き起こす有害なサイトカインを産生します。その結果、AGAの発症リスクが高くなるのです。
プロペシアの有効成分であるフィナステリドには、5α-リダクターゼの働きを阻害して、抜け毛を予防する効果が期待されています。また、プロペシアの服用を継続することで、多くの方に発毛効果も見られています。
ジェネリック医薬品フィナステリド錠
AGAの治療には、ジェネリック医薬品であるフィナステリド錠も多く用いられています。プロペシアが国内で販売されたのは2005年のことでしたが、その後、国内でのプロペシアの特許期間は終了しています。
このため、プロペシアの有効成分であるフィナステリドを配合した、ジェネリック医薬品が医薬品メーカー各社から販売されているのです。
ジェネリック医薬品のメリットとして、先発医薬品と同様の効果が期待できることと、安価に購入できることが挙げられます。
1つの医薬品が販売に至るまでには、数多くのハードルをクリアしなければなりません。ジェネリック医薬品の場合は、開発費用を安く抑えることができるため、安価に販売することが可能なのです。
ザガーロ
ザガーロもAGA治療に用いられる薬としてよく知られています。先ほど、AGAの発症には体内の酵素である5α-リダクターゼが深く関わっていると説明しました。
5α-リダクターゼには1型と2型の2種類があるのですが、プロペシアの有効成分であるフィナステリドは、2型の5α-リダクターゼにしか作用しません。
一方、ザガーロの有効成分であるデュタステリドには、1型と2型の、両方の5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があります。その分、抜け毛を予防して、発毛を促進する効果が高くなっているのです。
比較的新しい治療薬であるザガーロには、現在のところジェネリック医薬品がありません。このため、プロペシアに比べると費用が高くなるといったデメリットもあります。
ミノタブ(ミノキシジルタブレット)
ミノタブはもともと高血圧の治療薬として、アメリカで用いられていました。ミノタブの有効成分であるミノキシジルには、血管を拡張し、血液の循環を促進する作用があるからです。
現在ではミノキシジルの作用が動脈にしか及ばないことが分かってきており、高血圧の治療薬として用いられることはなくなっています。
ただ、ミノタブを利用して高血圧の治療を行っていた方に発毛効果が見られたことから、低用量のミノキシジル外用薬が開発された経緯があります。
日本でもミノキシジル外用薬は厚生労働省によって認可されているのですが、ミノタブは正式に認可されていません。
ただ、内服タイプのミノタブの方が高い発毛効果を期待できるため、AGA治療専門のクリニックでは、副作用のリスクを慎重に管理しながら、ミノタブを利用しているところもあります。
外用薬
AGAの治療には、内服薬と合わせて外用薬を利用するケースも少なくありません。外用薬として主に用いられているのがミノキシジル外用薬です。
ミノキシジル外用薬
ミノキシジル外用薬には、有効成分としてミノキシジルが配合されています。頭皮に塗布することで、局所の血液循環を活発化し、髪の毛の成長に必要な栄養素を送り届けやすくする働きが期待されています。
また、ミノキシジルには毛母細胞の死滅を抑止したり、発毛シグナルを促進したり、毛母細胞の分裂を活性化させたりする働きも期待されています。
ミノキシジルには、男性ホルモンにアプローチするプロペシアやザガーロとは異なる作用機序があります。
このため、ミノキシジルとプロペシア、もしくはミノキシジルとザガーロを併用することで、発毛効率を高めることも可能となっています。
薬の副作用はあるのか?
AGAの治療に薬を利用する場合、気になるのが副作用のリスクではないでしょうか。AGA治療薬は厚生労働省によって認可を受けています。
しかし、化学的に製造された治療薬である以上、副作用の可能性がゼロという訳にはいきません。では、AGA治療薬にはどのような副作用の可能性があるのでしょうか。
内服薬
AGAに用いられる内服薬の副作用としては、主に以下のような例が挙げられます。プロペシアやザガーロには主に男性機能に関する副作用が、ミノタブには主に血圧に関する副作用が報告されています。
男性機能が低下する
プロペシアやザガーロは男性ホルモンにアプローチする治療薬なのですが、副作用として男性機能の低下が挙げられています。
発現頻度がそれほど高いわけではないのですが、プロペシアやザガーロを服用した方の数%に、性欲の減退や射精障害、精液量の減少などが見られます。
体毛が濃くなる
ミノタブの副作用としては、体毛が濃くなることが挙げられています。ミノタブには高い発毛効果が期待されているのですが、その効果は髪の毛だけでなく体毛にも及ぶのです。
顔や手足かむくむ
ミノタブの副作用としては、顔や手足のむくみが挙げられています。ミノタブの作用は動脈にしか及ばないため、このような副作用の可能性が生じるのです。
低血圧によるめまいが起こる
ミノタブの副作用としては、低血圧によるめまいも挙げられています。ミノタブはもともと高血圧の治療薬として用いられていたことからも分かるように、服用に伴って血圧が下がり過ぎると、めまいを生じるリスクが高くなるのです。
外用薬
AGAに用いられるミノキシジル外用薬には、内服薬ほどの副作用のリスクがありません。ただ、人によっては次のような副作用を生じる可能性があります
塗布部分や全身にかゆみが出る
ミノキシジル外用薬に含まれる成分が肌質や体質に合わない場合、塗布部分や全身にかゆみを生じる可能性があります。
ニキビが出てくる
ミノキシジルには血管を拡張し、血液の循環を促進する作用があります。それにともなって皮脂の分泌が活発になると、ニキビが出てくる可能性もあります。
薬は通販や個人輸入で購入できる?
AGA治療薬は、通販や個人輸入で購入することも可能です。正規品と比べるとかなり安価であるため、個人輸入代理店などから購入される方もいらっしゃるようです。
ただ、海外製の治療薬には偽物や粗悪品も多く、思ったような治療効果を得られない可能性があります。また、副作用が起こった時にも問題があります。
国内の医師が処方した医薬品の場合、仮に副作用が起こった場合、国による救済措置が受けられます。ところが、自己判断で海外製の治療薬を服用した場合、副作用が起こっても自己責任となるのです。
AGAの治療を後悔しないためにも
AGAは進行型の脱毛症であり、発症が確認された場合、根気強く治療や抜け毛予防に取り組む必要があります。AGAの治療を後悔しないためにも、次の点には気を付けましょう。
薬はクリニックから処方されるものを服用する
AGAの治療を後悔しないためには、専門のクリニックから処方された治療薬を服用するのが重要です。
先ほども触れましたように、自己判断で海外製の治療薬を服用した場合、思ったような発毛効果が得られないばかりか、副作用が起こる可能性があります。
特に心臓へかかる負担が増すミノタブは、医師の指導下で慎重に服用する必要があります。薄毛を改善しようとしたら体調が悪化したということがないよう、治療薬は必ず医師の処方したものを利用するよう心がけましょう。
薬を継続して服用する
AGAは進行型の脱毛症であるため、治療薬は継続して服用することが重要です。中には発毛効果が見られないからと、数週間から1ケ月程度で治療薬の服用をやめてしまう方もいらっしゃいます。
一般的に、AGA治療薬の効果が現れるまでに、平均すると半年から1年はかかるとされています。このため、継続して治療薬を服用することが求められるのです。
また、治療薬によって一定の発毛効果が見られた場合であっても、いきなり治療薬の服用を中止した場合、再び薄毛の進行スピードが速くなってしまいます。
満足のいく発毛効果が得られたのであれば、医師と相談して治療薬の量や通院回数を減らすことは可能なので、自己判断で治療薬の服用を中断することは避けましょう。
まとめ
AGAは進行型の脱毛症であるため、発症が疑われる場合、できるだけ早めに治療を開始することが重要です。早期に治療を始めることで、薄毛の進行を遅らせ、発毛効果を得やすくなるでしょう。
AGAの治療にはプロペシアやザガーロ、ミノキシジルといった治療薬が用いられますが、副作用のリスクもあるため、原則として医師の指導下で服用、および塗布することが求められます。
安いからという理由だけで海外製のジェネリックなどを利用した場合、思ったような発毛効果が得られないだけでなく、副作用が起こっても自己責任になります。
このため、AGAの治療薬は必ず医師の処方したものを利用するよう心がけましょう。また、発毛や治療に関する不安がある時は、遠慮せずになんでも医師に相談しましょう。
薄毛・抜毛などの髪の毛に関するトラブルは、新宿AGAクリニックにご相談ください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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