ミノキシジルの効果が出るまでの期間は?副作用を避ける方法はあるの?
ミノキシジルは厚生労働省が発毛効果を認めている数少ない有効成分の1つで、日本皮膚科学界からはAGA治療に際して行うよう強く勧めるAランクの治療法に位置付けられています。
しかし、ミノキシジルの使用を開始したからといって、すぐに目に見える効果があらわれる訳ではありません。こちらの記事では、ミノキシジルの効果が出るまでの平均的な期間や発毛までに時間がかかる理由、効果が感じられない際の対処法について解説します。
目次
ミノキシジルとは
ミノキシジルは1960年代のアメリカで高血圧の治療に用いられていた成分です。ミノキシジルを服用した方に発毛が見られたことから、低用量のミノキシジル外用薬のロゲインが開発されました。
日本では医療用医薬品としてのミノキシジル外用薬は認可されていませんが、一般用医薬品のうち第一類医薬品として大正製薬から販売された経緯があります。
ミノキシジルの特許期間は2018年に終了したため、現在では各製薬会社や化粧品メーカーから、ミノキシジルのジェネリック医薬品が多数販売されています。
最初にミノキシジルの作用機序や、期待される効果について解説します。
ミノキシジルが効く仕組み
ミノキシジルが効く仕組みについて理解するためには、髪の毛が生えてから抜け落ちるまでの周期=ヘアサイクルについて知っておく必要があります。
ヘアサイクルは、主に以下の3期に分けられます。
成長期 |
毛母細胞が活発に分裂して髪の毛が太く・長く成長する時期。ヘアサイクル全体のおよそ85~90%を占める |
退行期 |
毛母細胞の分裂が滞り、髪の毛の成長が鈍くなる時期。ヘアサイクル全体のおよそ1%を占める |
休止期 |
毛母細胞の分裂が完全に停止し、髪の毛が毛穴から抜け落ちるのを待つ時期。ヘアサイクル全体のおよそ10~15%を占める |
AGA(男性型脱毛症)を発症している人は、ヘアサイクルの休止期で留まる毛穴が増加する傾向にあります。
ミノキシジルには休止期にある毛穴の毛乳頭細胞にアプローチして成長期へと移行させ、さらに成長期を延長する作用があります。
ミノキシジルに期待される効果
ミノキシジルに期待される効果は発毛です。従来のAGA治療薬であるプロペシアが守りの治療薬といわれるのに対し、ミノキシジルが攻めの治療薬と呼ばれるのはそのためです。
頭頂部や他の部位への効果の違い
プロペシアの有効成分であるフィナステリドには、5αリダクターゼの働きを阻害し、抜け毛を予防する効果が期待できます。
5αリダクターゼは主に前頭部や頭頂部の毛包に分布しているため、プロペシアの服用によりM字はげやO字はげの改善・予防が可能です。
ミノキシジルは頭皮に塗布して使用するタイプのAGA治療薬のため、薄毛の場所に関係なく発毛効果が期待できます。
ミノキシジルの効果が出るまでの期間
ミノキシジルを服用したからといって、風邪薬のようにすぐに効果が現れる訳ではありません。ミノキシジルの効果があらわれる平均的な期間を知り、継続的に使用するのがおすすめです。
期間
ミノキシジルの効果があらわれるまでの期間には個人差がありますが、平均すると使用開始から6ヶ月前後で効果を実感する方が増えてくる傾向にあります。
大正製薬が販売しているリアップシリーズの1つ「リアップX5」の長期投与試験結果によると、ミノキシジルを3ヶ月使用した段階で、およそ6割の方が軽度改善を実感すると分かりました。
使用を開始して半年後にはおよそ50%の方が中等度改善を実感しており、使用期間が伸びるにつれて発毛効果を実感する方が増えています。
一般的にミノキシジルの含有量が多いほど高い発毛効果が得られるとされており、1%のミノキシジルでは6ヶ月以上、5%のミノキシジルでは4ヶ月以上の使用で効果が確認されています。
参考:大正製薬「リアップX5(ミノキシジル5%製剤)の効果を示す臨床試験データ」
吸収時間
ミノキシジルの有効成分が頭皮に吸収されるまで、およそ2時間から5時間かかるとされています。
毛母細胞の分裂は成長ホルモンが多く分泌される夜間に活発化するため、就寝時間の2時間前にはミノキシジルを塗布しておくのがおすすめです。
ミノキシジルの効果が出るまで期間を要する理由
ミノキシジルの効果が出るまでに期間を要する理由は、AGAの発症によって乱れたヘアサイクルが整うまでに時間がかかるためです。
男性のヘアサイクルはおよそ3〜5年周期とされていますが、AGAを発症するとヘアサイクルがおよそ半年から1年程度に短縮されます。
ヘアサイクルは髪の毛1本1本につき異なっているため、すべての毛穴のヘアサイクルが整うまでにそれなりの期間が必要となる訳です。
ミノキシジルの効果がなかなか出ないと感じる方のなかには、初期脱毛について理解していない方が少なくありません。
初期脱毛はミノキシジルの服用にともなって見られる副作用の1つで、使用開始から1〜2ヶ月の時期に起こる一時的な抜け毛の増加を意味します。
ミノキシジルを使用すると、ヘアサイクルの改善にともない新たに生えてきた太く・強い髪の毛によって、細くなった古い髪の毛が押し出されます。
新たに生えてきた髪の毛が頭皮の外へ出るまでに時間がかかるのも、ミノキシジルの効果に期間を要する理由の1つです。
ミノキシジルの効果がない場合の対処法
ミノキシジルの効果が感じられない場合には、正しく使用できているか確認し、生活習慣に関しても振り返ってみる必要があります。
ミノキシジルが効かない人の特徴とその理由
ミノキシジルが効かない人の主な特徴は、以下の4つです。
- 使用期間が短い
- 生活習慣が乱れている
- ストレスが蓄積している
- AGA以外の原因で抜け毛が起こっている
冒頭でもお話したように、ミノキシジルの効果を実感できるまでには早くても4ヶ月、平均するとおよそ6ヶ月が必要です。
AGA治療においてミノキシジルは攻めの治療薬に位置付けられており、高い発毛効果が期待できるものの、使用したからといってすぐに効果が出る訳ではありません。
5%ミノキシジルを使用して半数の方が軽度改善を実感するまでにおよそ3ヶ月、中等度改善を実感するまでにおよそ6ヶ月が必要とのデータが出ています。
ミノキシジルの効果が実感できない方は、生活習慣について振り返ってみる必要があるでしょう。
いくらミノキシジルに高い発毛効果が期待できるといっても、髪の毛の成長を阻害する行為を続けていると発毛効果は得られません。
例えば頭皮を毎日洗わずに不潔にしていたり、反対に洗いすぎて肌を守るべき皮脂膜まで洗い流したりしていると、頭皮環境の悪化による抜け毛を引き起こしやすくなります。
睡眠不足や睡眠の質の低下が続くと、成長ホルモンの分泌量が減少し、夜間に起こるべき毛母細胞の分裂が鈍くなるため注意が必要です。
ストレスの蓄積により自律神経のバランスが乱れると、ヘアサイクルに乱れが生じやすくなり、ミノキシジルの効果を減弱させる恐れがあります。
また、AGA以外の原因で抜け毛が起こっている方は、ミノキシジルではなく他の治療法を試す必要があるでしょう。
半年経過しても効果がない場合の見直しポイント
ミノキシジルの使用から半年が経過すると、およそ90%の方が軽度改善を実感し、そのうちのおよそ半数が中等度改善を実感すると分かっています。
ミノキシジルを使用して半年が経過しても効果が実感できない方は、以下の2点を確認してみましょう。
- 使用方法を守る
- 生活習慣を見直す
使用方法を守る
ミノキシジルを半年使用しても効果が実感できない方は、使用方法が守れているか確認してみましょう。ミノキシジルは就寝の2時間前には塗布を終え、朝にもう一度塗布するのが原則です。
夜にミノキシジルを塗布する際には、事前にシャンプーを行い頭皮を清潔にしておくのがポイントです。推奨用量に関しては添付文書やパッケージなどを参考にすると良いでしょう。
また、半年で効果が見られない場合であっても、1年間はミノキシジルの塗布を続ける必要があります。1年が経過してもまったく改善が見られないようであれば、その他の方法を試す必要があるでしょう。
生活習慣を見直す
ミノキシジルの効果を実感するためには、生活習慣を見直して髪の毛の成長をサポートする必要があります。髪の毛はタンパク質の一種であるケラチンから作られるため、日々の食事で良質なタンパク質を摂取するよう意識しましょう。
適切な睡眠時間に関しては個人差があり、専門家の間でも意見が分かれますが、厚生労働省では6~8時間の睡眠を推奨しています。
AGA治療に関するご相談なら新宿AGAクリニックへ
ミノキシジルにはヘアサイクルの休止期にある毛穴の毛乳頭細胞にアプローチし、成長期への移行を促す作用があります。また、ヘアサイクルの成長期を延長する作用もあるため、従来のAGA治療薬とは異なり抜け毛予防ではなく、発毛促進効果が期待できます。
ミノキシジルの効果が実感できるまでには平均でおよそ6ヶ月が必要なため、すぐに効果が出ないと諦めずに継続的に使用するのがポイントです。
新宿AGAクリニックでは一人ひとりの症状や体質に合わせてミノキシジルの処方量を調整するオーダーメイド処方を行っています。AGAによる薄毛にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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