小さい円形脱毛症の症状と男女別原因|長期化した際の治療法を紹介
円形脱毛症は年齢や性別を問わず、誰でも発症する可能性がある脱毛症として知られています。脱毛斑が1つのこともあれば、たくさんの脱毛斑が集まって大きくなるケースもあります。
円形脱毛症にはいくつかの種類があり、自然に治癒することもあれば治療をしてもなかなか改善が難しいケースもあります。
今回の記事では、円形脱毛症の発症原因や種類、治療法などをご紹介しています。円形脱毛症の発症が疑われる方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
円形脱毛症の症状
円形脱毛症の原因や治療法について解説する前に、まず、円形脱毛症を発症した場合、どのような症状があらわれるのかを知っておきましょう。それによって、早期対応が可能となります。
円形脱毛症は10円はげと呼ばれることもあるように、コイン大に脱毛斑(だつもうはん・抜け毛の起こった箇所のこと)ができるといった特徴を有しています。
ただ、実際にはコイン大よりも大きな範囲に脱毛斑を認めるケースがあります。また、複数の脱毛斑が繋がり、広範囲にわたって脱毛斑を認めるケースもあります。
中高年以降の方が脱毛範囲が広くなるかというわけでもなく、幼児や児童であっても広範囲に脱毛斑を認めることがあります。
円形脱毛症のもう1つの特徴として、脱毛以外に爪の変化が見られる点も挙げられます。円形脱毛症を発症された方のおよそ4人に1人に、爪の凹みや溝の変化などが見られるということです。
円形脱毛症とは
円形脱毛症は、円形や楕円形の脱毛斑を生じることが特徴の脱毛症で、ある日、何の前触れもなく発症します。
脱毛範囲は人によって様々ですが、広範囲にわたって抜け毛が見られる場合、発毛したとしても再発するケースが少なくありません。
円形脱毛症の特徴としては、年齢や性別を問わず、誰でも発症するといった点も挙げられます。円形脱毛症と年齢・性別との関係については、新潟大学の行った研究がよく知られています。
434人を対象とした検査によると、円形脱毛症は9歳未満の幼児および児童から、60歳以上の高齢者まで幅広い範囲で発症が認められています。
30代に関しては男女で有意な発症数の差はなく、その他の年代に関してもやや女性に発症例が多く見られるものの、男女差はそれほど認められていません。
小さい円形脱毛症と大きい円形脱毛症
円形脱毛症にはいくつかの種類があるのですが、大雑把に分類した場合は脱毛斑が小さい円形脱毛症と、脱毛斑が大きい円形脱毛症の2タイプに分類できます。それぞれについて詳しくみていきましょう。
円形脱毛斑が小さい軽症の場合
脱毛斑が小さい円形脱毛症としては、次の2つのタイプが挙げられます。
- 単発型の円形脱毛症
- 多発型の円形脱毛症
単発型の円形脱毛症はその名の通り、脱毛斑を一箇所にのみ認めるタイプの円形脱毛症を意味します。比較的軽症例とされており、脱毛斑が小さい場合、およそ8割のケースで1年以内の治癒を認めるとされています。
多発型の円形脱毛症は、単発型の円形脱毛症が2つ以上同時に発生するタイプの円形脱毛症です。脱毛斑が結合して広範囲となった場合、多発融合型の円形脱毛症と呼ばれることもあります。
多発型の円形脱毛症に伴なう脱毛斑が広くなった場合は適切な治療を行ったとしても、治癒までに半年から2年を要することがあります。また、いったん症状が改善したとしても再発するケースがあります。
円形脱毛斑が大きい重症の場合
円形脱毛症に伴う脱毛斑が大きいタイプとしては、次の3つが挙げられます。
- 蛇行型の円形脱毛症
- 全頭型の円形脱毛症
- 汎発型の円形脱毛症
蛇行型の円形脱毛症は、脱毛斑がコインのように丸い形をしておらず、細長く蛇行して脱毛を引き起こすのが特徴です。
どこにでも発症するというわけではなく、どちらかというと後頭部から側頭部にかけて脱毛斑を認めるケースが一般的です。発症した場合、複数年の治療を余儀なくされることも珍しくありません。
全頭型の円形脱毛症はその名の通り、頭部全体に脱毛斑を生じる円形脱毛症のことを意味します。全頭型の円形脱毛症を発症した場合、適切な治療を行ったとしても、治癒が困難であるケースが少なくありません。
汎発型(はんぱつがた)の円形脱毛症は、髪の毛だけでなく、眉毛やまつげ、体毛を始めとした全身の毛が抜け落ちるタイプの円形脱毛症です。
数ある円形脱毛症の中でも最も重症例が汎発型の円形脱毛症とされており、治療も長期に渡るのが一般的です。
円形脱毛症の男女別原因
円形脱毛症の原因については、現在のところハッキリとしたことがよく分かっていません。
かつてはストレスによって円形脱毛症を発症すると考えられていた時期もありましたが、その後の研究によって、円形脱毛症とストレスとの間に有意な因果関係は認められなかったということです。
現在では、円形脱毛症が自己免疫疾患の一種だと考えられています。私たちの身体には、外部の侵入者(細菌やウイルス)から身を守る機構=免疫システムが存在しています。
ところが、何らかの原因によって免疫システムに異常が生じると、本来であれば外部からの侵入者を攻撃するはずの免疫系によって毛包が攻撃され、その結果として抜け毛を生じるのです。
ただ、抜け毛のメカニズムについては分かっていても、なぜ免疫異常が起こるのかについてはハッキリしたことが分かっていません。
次に、円形脱毛症の発症リスクを高める男女別の原因について見ていきましょう。
女性特有の円形脱毛症
円形脱毛症は年齢や性別を問わず発症する可能性のある脱毛症ですが、先に取り上げた研究によると、若干ですが、女性の方に多数の発症例が確認されています。
円形脱毛症のリスクを高める女性特有の原因としては、次のようなことが挙げられています。
妊娠から出産後の女性ホルモンの減少
女性に特有の円形脱毛症の原因として、妊娠期から出産後にかけての、女性ホルモンの分泌量減少が挙げられます。
女性が妊娠した場合は、l妊娠状態を維持したり骨盤の結合を緩めたりなど様々な理由で女性ホルモンの分泌量が増大します。その数値は、非妊娠時の100倍にも及ぶと考えられています。
ところが、出産を機に女性ホルモンの分泌量が激減すると、一時的に髪の毛が抜け落ちやすくなります。この時期に何らかの要因が重なることで、円形脱毛症の発症リスクが高くなるとかんがえられています。
男性の円形脱毛症
女性の円形脱毛症が20代で発症のピークを迎えているのに対し、男性の円形脱毛症は年齢ごとにそれほど差がありません。男性の円形脱毛症発症のリスクを高める原因としては、次のようなことが挙げられます。
男性型脱毛症(AGA)
AGAは男性に見られる代表的な脱毛症で、英語のAndrogenetic Alopeciaの頭文字を取ったものです。日本語にすると男性ホルモンに起因する脱毛症となりますが、単に男性型脱毛症と呼ばれることが一般的です。
AGAの主な原因は遺伝ですが、ストレスや睡眠不足、疲労、運動不足、喫煙習慣、誤った頭皮ケアなどがAGAのリスクを高めることもあります。
そのような要因がいくつか重なった場合、円形脱毛症の発症リスクも高めるのではないかと考えられています。
円形脱毛症の有効な隠し方
冒頭でもお話ししましたように、円形脱毛症にはいくつかのタイプがあります。仮に脱毛斑が広くなった場合、治癒するのに時間を要するケースも少なくありません。
その場合、一時的に円形脱毛症を隠すことで人の目に対する不安や心配を少しでも解消することが可能となります。
円形脱毛症を隠すには、次のような方法があります。
帽子、バンダナ、スカーフの使用
円形脱毛症を隠す場合、帽子やバンダナ、スカーフなどを利用する方法があります。頭全体を覆うことができるため、多発型の円形脱毛症や全頭型の円形脱毛症であっても、上手に隠すことができます。
ただし、円形脱毛症の進行中である場合、ちょっとした刺激で髪の毛が抜けることも珍しくありません。そのため、あまり強く圧迫しないよう気を付けましょう。
ヘア・ファンデーションの使用
円形脱毛症を隠す方法としては、ヘア・ファンデーションを利用する方法もあります。
ヘア・ファンデーションは、頭皮に専用の粉を降り掛け、髪の毛のボリュームをアップさせるグッズです。特に単発型の円形脱毛症のように、脱毛斑が小さい場合に有効です。
医療用ウィッグの使用
全頭型の円形脱毛症や、汎発型の円形脱毛症を発症した場合、医療用ウィッグを利用する方法もあります。
帽子やバンダナなどと異なり、屋内での着用も不自然ではない点がメリットです。
長期化した円形脱毛症を早く治す7つの治療法
円形脱毛症の治療に関しては、円形脱毛症診療ガイドラインに詳しく記載されています。その中から、円形脱毛症を早く治すための治療法を7つご紹介します。
内服薬の使用
円形脱毛症を改善するための治療法として、内服薬を服用するという方法があります。円形脱毛症の内服薬としては、ステロイド製剤やセファランチン、抗アレルギー薬などが挙げられています。
ステロイド製剤には、頭皮の炎症を鎮める働きがあり、セファランチンには血行を促進する働きがあります。抗アレルギー薬は、単発型および多発型の円形脱毛症に対して有効とされています。
外用薬の使用
円形脱毛症の治療に、外用薬が用いられることもあります。外用薬としてはステロイドやミノキシジル、塩化カルプロニウムなどが用いられています。
ミノキシジルには頭皮への血行を促進し、発毛シグナルを活発化させる働きが期待されています。塩化カルプロニウムは育毛剤にも含まれている成分です。
冷却治療
冷却治療は、脱毛斑に対して液体窒素やドライアイスなどを用いて、毛髪の再生を促す治療法です。副作用がほとんどない比較的安全な治療法です。
ドライアイスを直接的に脱毛斑へとあてることもあれば、液体窒素を脱毛症に対してスプレー照射することもあります。
紫外線療法
紫外線療法は、全頭型や汎発型といった重度の円形脱毛症に対して行われる治療法です。
紫外線によるダメージから皮膚が再生するときに、発毛効果も促す効果が期待されています。通常、子どもの円形脱毛症に対して、紫外線療法を行うことはありません。
直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)
直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)は、単発型や多発型の円形脱毛症に対して行われる治療法です。
赤外線は身体の奥深くにまで届き、炎症を鎮めたり、血行を促進したりする効果が期待されています。副作用のリスクが低い点もメリットとされています。
点滴静注ステロイドパルス療法
ステロイドを短期間、集中的に登用する治療法です。副作用のリスクが高いため、通常、子どもの円形脱毛症に対して行うことはありません。
発症から半年以内の患者に対して有効とされていますが、半年以上が経った患者にはそれほどの効果が期待できないということです。点滴静注ステロイドパルス療法を行う場合、入院しての加療が必要となります。
AGA治療に関するご相談なら
円形脱毛症は年齢や性別を問わず、誰でも発症する可能性がある脱毛症です。ただ、円形脱毛症に関してはハッキリとした原因が分かっておらず、複数の要素が複雑に絡み合った結果として発症する例も少なくありません。
そのため、なぜ円形脱毛症を発症しているのか、1人1人の原因を突き止めることが欠かせません。新宿AGAクリニックでは、男性に見られる代表的な脱毛症であるAGAだけでなく、女性の薄毛や円形脱毛症も専門的に治療しています。
治療パターンも600以上用意しており、1人1人の薄毛に応じたオーダーメイド治療が受けられます。カウンセリングは無料で行っていますので、治療に関する疑問や費用に関するお悩みなど、なんでもお気軽にご相談下さい。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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