パントガールとは?女性の抜け毛改善育毛剤の効果とは
薄毛は男性に見られるトラブルだと思われる方も多いですが、ストレス社会と呼ばれる現代では、女性でも薄毛に悩まされている方が少なくありません。しかし、女性の薄毛は現在、専門のクリニックで治療できる時代となっています。クリニックではパントガールなどの治療薬で薄毛の改善を図ることが一般的です。
こちらの記事ではパントガールの特徴や期待できる効果、服用する際のコツなどについて解説しています。薄毛に悩まされている女性の方や、パントガールについて知りたい方は参考にしてください。
目次
パントガールとは
パントガール(Pantogar)は女性専用の薄毛治療薬です。びまん性脱毛症や分娩後(ぶんべんご)脱毛症などにともなう抜け毛を改善する目的で、ドイツの製薬会社で研究・開発されました。その後、世界で初めて抜け毛や薄毛の改善効果および安全性が認められて現在に至ります。
パントガールは毎日3カプセル(朝・昼・夜に1カプセルずつ)を少量の常温の水で服用することが基本です。風邪薬のように食後に飲まなければいけないといったルールはないため、自分の好きなタイミングで服用可能です。
しかし、人によってはまれに食前の服用で胃が荒れる可能性もあるため、胃の弱い女性は食後に服用するとよいでしょう。パントガールはどちらかというと医薬品というよりはサプリメントに近いため、継続的に服用してもそれほど心配がありません。
男性用薄毛治療薬は女性には使えない
これまで薄毛は男性特有の悩みと考えられていたため、女性向けの内服治療薬は開発されてこなかった経緯があります。男性に見られる薄毛の代表例がAGA(男性型脱毛症)ですが、フィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬を服用することで改善が期待できます。
しかし、フィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬は男性ホルモンにアプローチする医薬品のため、原則として女性は服用禁忌です。だからこそ、世界で初めて薄毛の改善効果を認められたパントガールが、女性にとって強い味方となるのです。
パントガールを服用できない人
パントガールは以下に該当する女性は服用できません。
- 未成年
- 妊娠中の女性
- スルホンアミド系の薬を服用されている方
世界で初めて女性の薄毛を改善する効果および安全性が認められたパントガールですが、どのような女性でも無条件に服用できる訳ではありません。
基本的にパントガールは成人女性に見られる薄毛の改善目的で製造されており、未成年の女性に対する有効性および安全性は確認されていません。
妊娠中の女性がパントガールを服用した場合、胎児に何らかの影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の服用は控えるべきとされています。
また、スルファメトキサゾールやマフェニド、サラゾスルファピリジンなど、スルホンアミド系の治療薬はパントガールとの併用禁忌です。
パントガールの成分
パントガールには主に以下2つの成分が配合されています。
- D-パントテン酸カルシウム
- L-シスチン
パントガールに含まれる代表的な2つの成分の特徴、およびその他の成分について解説します。
D-パントテン酸カルシウム
パントガールに含まれる代表的な成分の1つが、D-パントテン酸カルシウムです。体内で補酵素として働くD-パントテン酸カルシウムには、髪の毛や頭皮、神経組織などを正常に保つ作用があります。
その他のビタミンなどと合わせてD-パントテン酸カルシウムを摂取することで、副腎皮質ホルモンの合成をサポートします。副腎皮質ホルモンは抗ストレスホルモンとも呼ばれており、ストレスに起因する抜け毛や薄毛の予防・改善に効果的です。また、D-パントテン酸カルシウムは脂質や糖質、タンパク質の代謝にも関わっています。
L-シスチン
L-シスチンもパントガールに含まれる代表的な成分の1つです。L-シスチンはL-システインが2つ結合したアミノ酸の一種で、エネルギーの産生をサポートしたり、ターンオーバーの周期を正常化させたりする働きがあります。
びまん性脱毛症などを発症している女性にはターンオーバーの周期の異常が見られるため、パントガールの服用によりターンオーバーの周期が整うと、抜け毛予防や発毛促進効果が期待できます。また、L-シスチンには抗酸化作用もあるため、皮膚や髪の毛の老化を予防するのに効果的です。
その他
パントガールにはD-パントテン酸カルシウムやL-シスチン以外にも、ビタミンB1やケラチン、薬用酵母などが配合されています。ビタミンB1にはブドウ糖を燃焼してエネルギーに変える役割があります。
食事から摂取したタンパク質はいったんアミノ酸レベルに分解されますが、亜鉛などのはたらきにより髪の毛の元となるケラチンに作り替えられます。パントガールには、髪の毛の元となるケラチンも配合されているため、育毛および発毛に効果的です。また、パントガールには脂質の代謝に関わる薬用酵母も含まれています。
パントガールに期待できる効果
パントガールには主に以下の4つの効果が期待されています。
- 頭皮・髪の毛を健康に保つ
- ハリ・コシにアピールする
- 抜け毛を減少させる
- 白髪の予防
パントガールに期待できる効果を、有効成分との関係や臨床試験のデータに触れながら解説します。
頭皮・髪の毛を健康に保つ
パントガールに期待できる効果の1つが、頭皮や髪の毛を健康に保つことです。パントガールに含まれる代表的な成分の1つであるD-パントテン酸カルシウムには、頭皮の細胞や髪の毛を健康に保つ働きが期待されています。
D-パントテン酸カルシウムには抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンの合成にも関わっているため、ストレスによる抜け毛や薄毛のリスクを低下させる効果も期待されています。D-パントテン酸カルシウムにはビタミンCの働きもサポートするため、頭皮や髪の毛の老化予防にも効果的です。
ハリ・コシにアピールする
パントガールには髪の毛のハリやコシを保つ効果も期待されています。パントガールには2大成分であるD-パントテン酸カルシウムとL-シスチン以外に、髪の毛を作る際に欠かせないケラチンが配合されています。
ケラチンは太くて美しい髪の毛を作るための重要な成分であるため、パントガールの服用が髪の毛のハリやコシを生み出すのに効果的です。ケラチンを合成するためには亜鉛が必要となるため、パントガールの服用と合わせて牡蠣(かき)やレバーなどを摂取することがおすすめです。
抜け毛を減少させる
パントガールの効果の1つが、抜け毛を減少させることです。パントガールの服用により抜け毛が減少することは、臨床試験のデータからも明らかになっています。
びまん性脱毛症を発症している女性、および毛髪の構造に損傷がある女性60例を対象にした試験によると、パントガールの服用により毛髪の構造が有意に改善しました。
また、二重盲検プラセボ対照比較試験において、パントガールを服用した群にヘアサイクルの成長期毛率の増加が見られました。
白髪の予防
パントガールには白髪の予防効果も期待されています。髪の毛はもともと作られた段階では白色をしていますが、その後の成長過程でメラノサイトのはたらきにより、黒や茶色、金色などの色に変化します。
しかし、ストレスなどが原因でメラノサイトにダメージが加わると、色素細胞が正常に生成されなくなるため髪の毛が白いまま成長する、すなわち白髪になるのです。
パントガールの有効成分であるD-パントテン酸カルシウムには抗ストレスホルモンを合成し、色素細胞を正常に生成するサポートとしての働きが期待されています。
パントガールで気になる副作用
パントガールの主な成分はタンパク質やアミノ酸、ビタミンBおよびビタミンBに付着したカルシウム塩など、日常の食事からも摂取できるものが一般的です。そのため、パントガールの服用を続けても、目立った副作用が起こるリスクは多くありません。
しかし、体質によっては以下の軽度な副作用が見られることもあります。
- 頭痛
- めまい
- 下痢
- 腹痛
- 動悸(どうき)
- 胸やけなど
パントガールは食前・食後を問わず服用可能ですが、胸やけを予防するためには食後に服用することがおすすめです。ただし、パントガールの服用によって上記の症状が続くようであれば、いったん服用を中断して専門医の診察を受けましょう。
パントガールを服用する際のコツ
パントガールは副作用のリスクが低く、薄毛や抜け毛の予防・改善以外にもさまざまな健康および美容効果が期待できます。パントガールを服用する際のコツは以下の2点です。
- 個人輸入で購入しない
- 3ヶ月程度は服用する
個人輸入で購入しない
パントガールを服用する際には、個人輸入で購入した商品は避けましょう。パントガールをはじめとする医薬品の中には海外のサイトで個人輸入できる商品があり、価格も国内正規品より安価であることが一般的です。
しかし、個人輸入で購入したパントガールの中には、粗悪品や偽物が混じっているケースも少なくありません。また、個人輸入した粗悪なパントガールを服用して重大な副作用が生じた場合、国による救済措置が受けられないことも覚えておきましょう。
3ヶ月程度は服用する
パントガールを服用する際には、最低でも3ヶ月程度は継続して服用することが重要です。パントガールに限った話ではありませんが、発毛剤や育毛剤を服用および使用したからと言って、すぐに髪の毛が生えてくることはありません。
髪の毛には成長期・退行期・休止期といったヘアサイクルがあり、2年から6年周期で生え変わることを繰り返しています。そのため、パントガールを服用してヘアサイクルの周期を整え、新たに髪の毛が生えてくるまで根気よく服用を続けることが求められます。
パントガール以外の女性用薄毛治療薬
パントガール以外の女性用薄毛治療薬としては以下の2つがよく知られています。
- ルグゼバイブ
- ミノキシジル
2つの女性用薄毛治療薬の効果や副作用について解説します。
ルグゼバイブ
ルグゼバイブは、パントガールに生の馬プラセンタをはじめとする美容成分を配合した、女性用の薄毛治療薬です。生の馬プラセンタには、毛母細胞を活性化させるためのグロースファクター(成長因子)が含まれており、強く・太い髪の毛を成長させる効果が期待されています。
抜け毛や薄毛の改善効果が期待できる点ではパントガールと違いはありませんが、脱毛だけでなく髪質の改善効果も期待できる点が特徴です。副作用のリスクは低いのですが、カフェインが含まれているため用法・用量を守って服用しましょう。
ミノキシジル
ミノキシジルはフィナステリド、デュタステリドと並び、厚生労働省によって認可された数少ない発毛成分の1つです。フィナステリドやデュタステリドは女性が利用できないため、女性の薄毛にはミノキシジルが強い味方になってくれます。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、ミノキシジルの外用は推奨度Aの行うよう強く勧める治療法に位置付けられています。副作用のリスクが低い点も、ミノキシジル外用薬を用いるメリットの1つです。
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パントガールに関するFAQ
パントガールに関しては、以下5つの質問が多く寄せられています。
- パントガールをやめたら薄毛が進行する?
- パントガールが効果なしと言われる理由は?
- パントガールは体毛も増える?
- パントガールは市販で購入できる?
- パントガールで体重は増える?
パントガールに関する5つの質問にお答えします。
パントガールをやめたら薄毛が進行する?
パントガールの服用によって薄毛や抜け毛の改善が見られた場合、服用を中止することで薄毛が再び進行することは大いに考えられます。
パントガールの服用によりヘアサイクルの周期が整うと、服用をやめてもすぐに抜け毛の量が増えることはありません。しかし、時間をかけて再びヘアサイクルの周期が乱れることで、再び抜け毛や薄毛が目立ちはじめます。パントガールの服用を中止したい場合は、自己判断ではなく専門医に相談することが重要です。
パントガールが効果なしと言われる理由は?
パントガールが効果なしと言われる理由のほとんどは、パントガールを継続的に服用していないことです。パントガールに限らず、発毛剤や育毛剤は最低でも半年以上は継続して服用、もしくは使用することが重要です。
パントガールは世界で初めて発毛効果が認められた治療薬であり、正しく服用すれば多くの方が効果を実感できる点が特徴です。新宿AGAクリニックでも、パントガールを3ヶ月服用した方のおよそ7割に抜け毛の減少が見られています。
パントガールは体毛も増える?
パントガールの服用によって体毛が増えることはありません。パントガールの服用によって体毛が増えるという話は、ミノキシジル内服薬の服用による副作用との勘違いが原因と考えられます。
ミノキシジル内服薬には毛母細胞の分裂を活発化させる働きがあるのですが、効果は髪の毛だけでなく体毛にも及びます。そのため、ミノキシジル内服薬を服用すると、多毛症を発症する可能性があるのです。ちなみに国内ではミノキシジル外用薬のみが認可されており、ミノキシジル内服薬は認可外となっています。
パントガールは市販で購入できる?
パントガールは医療用医薬品のため、原則として医師による診察を受けた上で処方してもらう必要があります。そのため、薬局やドラッグストアなどでは購入できません。
海外のサイトなどから個人輸入することは可能ですが、粗悪品や偽物が混じっている可能性がある点は先述の通りです。副作用が起きたときに困らないよう、パントガールは専門のクリニックで処方してもらいましょう。
パントガールで体重は増える?
パントガールの服用で体重が増えることはありません。パントガール1カプセル当たりのカロリーはわずか0.5キロカロリーのため、1日に3カプセルを服用しても1.5キロカロリーにしかなりません。
また、パントガールに含まれる代表的な成分であるD-パントテン酸カルシウムには、脂肪を代謝する働きがあるため、服用によって体重が増えることは考えにくいでしょう。パントガールの服用にともなって体重が増えた場合、その他の原因を見つけることが重要です。
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AGA治療に関するご相談なら新宿AGAクリニックへ
パントガールに含まれる代表的な成分であるD-パントテン酸カルシウムやL-シスチンには、ターンオーバーの周期を正常化させ、髪の毛や頭皮を健康に保つ働きが期待されています。女性に多く見られるびまん性の脱毛症にもパントガールが効果的であるため、新宿AGAクリニックでも処方を行っています。
女性の抜け毛や薄毛にはさまざまな原因があるため、パントガールと並行して自分に合った治療を受けることが重要です。新宿AGAクリニックでは無料カウンセリングも行っているので、抜け毛や薄毛に関するどのようなお悩みもお気軽にご相談ください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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