脂漏性脱毛症の原因と治療法|agaとの違いを解説
脱毛症には様々な種類がありますが、脂漏性皮膚炎に伴って起こる脂漏性脱毛症もそのうちの1つです。
脂漏性脱毛症はどちらかというと皮脂の分泌量が多い男性に多く見られるタイプの脱毛症ですが、女性であっても皮脂の分泌量が増大した場合、脂漏性脱毛症を発症する可能性はあります。
脂漏性脱毛症の原因となる脂漏性皮膚炎は自然治癒することが多くないとされており、発症が疑われる場合には速やかに対処することが求められます。
そこで今回は、脂漏性脱毛症が起こる原因や主な症状、および改善法について詳しくご紹介しています。特に皮脂の分泌量が増える思春期以降の方や、30代・40代の方に知っておいて頂きたい症状です。
目次
脂漏性脱毛症とは
脂漏性脱毛症は、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)に伴って起こる脱毛症のことを意味します。
脂漏性皮膚炎は身体のどこにでも起こりうる皮膚疾患ですが、特に皮脂の分泌量が多い箇所に起こりやすいことで知られています。
脂漏性脱毛症の原因
脂漏性脱毛症の原因となる脂漏性皮膚炎は、皮膚の常在菌であるマラセチア(真菌=カビの一種)が異常に繁殖し、皮膚に炎症を起こすことで発症します。
マラセチアは皮脂をエサとして増殖するのですが、頭皮は体内でも皮脂の分泌量が多い箇所であるため脂漏性皮膚炎を発症した場合は脂漏性脱毛症へと移行しやすいのです。
脂漏性脱毛症とAGAの違い
脂漏性とよく勘違いされる脱毛症にAGAがあります。AGAは男性に見られる代表的な脱毛症で、英語のAndrogenetic Alopeciaの頭文字を取ったものです。
AGAとは
AGAは日本語で男性型脱毛症と呼ばれており、男性に見られる薄毛の大半をAGAが占めると考えられています。
AGAは主に遺伝的要因によって発症リスクを高めるとされますが、その他にも、ストレスや睡眠不足、栄養不足、乱れた食習慣、誤ったヘアケアなどがAGAの発症リスクを高めると考えられています。
脂漏性脱毛症とAGAの特徴の比較
脂漏性脱毛症は脂漏性皮膚炎に伴う脱毛症であり、遺伝が主な原因であるAGAとは根本的に異なるものです。ただ、脂漏性脱毛症もAGAも、ホルモンバランスの変化によって発症リスクを増す点では共通しています。
脂漏性脱毛症は後天的要因に伴って発症リスクが高くなるのに対し、AGAは先天的な要因によって発症リスクが高くなります。ただ、両方の脱毛症を併発する可能性は否定できません。
脂漏性脱毛症の代表的な症状
脂漏性脱毛症とAGAとの違いについて知って頂いたところで、次に、脂漏性脱毛症を発症した場合に見られる主な症状についてご紹介します。脂漏性脱毛症の発症が疑われる場合の参考にしてみて下さい。
頭皮のベタつき
脂漏性脱毛症を発症した場合に特徴的な症状が、頭皮のベタつきが見られるといった点です。その他の脱毛症の場合、必ずしも頭皮のベタつきが見られるとは限りません。
脂漏性脱毛症は先述したように、頭皮の常在菌の一種であるマラセチアが異常に繁殖することで発症リスクが高くなります。
マラセチアは皮脂をエサとして繁殖するため、皮脂の分泌量が多ければ多いほど、脂漏性脱毛症の発症リスクを高めます。そのため、脂漏性脱毛症を発症した場合は頭皮にベタつきが見られるのです。
大きなフケ
脂漏性脱毛症を発症した場合、大きなフケが見られるのも一般的です。フケには大きく分けて、乾性(かんせい)フケと、脂性(しせい)フケの2タイプがあります。
乾性フケはその名の通り、カサカサと乾いており、白っぽい色をしています。また、粒が小さい点も乾性フケの特徴です。
脂漏性脱毛症を発症した場合、脂性フケを認めることが一般的です。皮脂を吸収しているため色が黄色っぽく、粒も乾性フケに比べて大きいといった特徴があります。
また、乾性フケが肩口に多く見られるのに対し、脂性フケは髪の毛の生え際などに多く見られます。
赤みや痒み
脂漏性脱毛症の症状としては、頭皮の赤みや痒みも挙げられます。脂漏性脱毛症の原因となる脂漏性皮膚炎を発症した場合は、その他の炎症性皮膚疾患とは異なり初期段階ではあまり痒みが見られません。
そのため、脂漏性皮膚炎や脂漏性脱毛症の発見が遅れるケースも少なくないのです。脂漏性脱毛症を発症した箇所ではマラセチアによって炎症が引き起こされるため、頭皮に赤みを生じることが一般的です。
炎症(ニキビ・湿疹)
何度かご説明申し上げたように、脂漏性脱毛症は脂漏性皮膚炎に伴なう脱毛症です。脂漏性皮膚炎の炎という字には、炎症を伴なうといった意味があります。
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌量が過剰になることで発症しますが、皮脂とホコリ、角層などが混じり合って毛穴に詰まった場合はニキビや湿疹を引き起こすこともあります。
脂漏性脱毛症の治し方
脂漏性脱毛症を治すためには、その原因となる脂漏性皮膚炎を改善することが欠かせません。脂漏性脱毛症を治す方法としては、主に次のような方法が挙げられています。
生活習慣の改善
脂漏性脱毛症を治すためには、日常の生活習慣を改善することが必要となります。改善すべき生活習慣としては、食習慣や睡眠習慣、洗髪習慣などが挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
食生活の改善
脂漏性脱毛症を改善するためには、原因となる皮脂の分泌量を減らす必要があります。日頃から脂っこい食品やスナック菓子、ジャンクフードなどを好んで摂取する方は、脂質の量をコントロールした献立にすることが重要です。
ビタミンB2やB6には、皮脂の分泌量をコントロールする働きが期待されています。そのため、ビタミンB2は乳製品や魚肉、卵などに多く含まれており、ビタミンB6はささみや赤み肉などの脂質が少ない肉類、赤みの魚などに多く含まれています。
ストレス解消
脂漏性脱毛症の原因となる皮脂の分泌量をコントロールするためには、適度にストレスを解消することも求められます。大手化粧品メーカーの研究によって、ストレスによって皮脂の分泌量を増やすことが分かっているからです。
ストレスの自覚がある場合は、適度に身体を動かしたり、仲の良い友人・知人とおしゃべりを楽しんだり、自分の趣味に没頭したりするなど、工夫すると良いでしょう。
睡眠不足の解消
睡眠不足を解消することも、脂漏性脱毛症に伴う抜け毛の予防に繋がります。私たちの体内では、睡眠中に成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンが分泌されると、細胞分裂が活発化するため育毛に効果的です。
また、私たちが食べたものの栄養は寝ている間に吸収されるため、睡眠不足状態が続くと髪の毛の成長に悪影響を及ぼす結果となります。そのため、普段から十分な睡眠時間を確保するよう意識しましょう。
洗髪方法の改善
脂漏性脱毛症を改善するためには、洗髪方法も改善する必要があります。市販のシャンプーで洗髪している方は、シャンプーの見直しから始めると良いでしょう。
市販のシャンプーには洗浄力を高めるため、アルコール系の界面活性剤が多く含まれています。界面活性剤が入っていることで汚れが効率的に落ちるのですが、その際に頭皮を守るべき皮脂まで根こそぎ洗い流されてしまいます。
頭皮を守るべき皮脂が不足すると私たちの身体はかえって皮脂の分泌量を増大させ、頭皮を守ろうとします。その結果、逆に皮脂の分泌量が多くなるのです。そのため、普段使うシャンプーは育毛用や薬用の商品にすると良いでしょう。
脂漏性皮膚炎(頭皮の炎症)に悩んでいる場合は皮膚科へ相談
脂漏性皮膚炎に伴なう頭皮の炎症や痒み、チクチクとした痛みなどに悩んでいるのであれば、皮膚疾患一般に関する専門科である皮膚科に相談すると良いでしょう。
脂漏性皮膚炎に対しては、基本的にステロイドの外用が有効とされています。また、脂漏性皮膚炎の原因であるマラセチアに対処するため、抗真菌薬が用いられるケースもあります。
薄毛に悩んでいる場合|AGAクリニックへの相談
脂漏性脱毛症に伴う抜け毛が心配な方や実際に抜け毛の量が増えているような方は、薄毛治療専門クリニックを受診するべきでしょう。
皮膚科は皮膚疾患の治療を得意としており、薄毛治療専門のクリニックは薄毛の治療を得意としています。症状やお悩みに応じて、受診するクリニックを選択することが重要です。
AGA治療に関するご相談なら
脂漏性脱毛症は脂漏性皮膚炎に伴なう脱毛症であり、原因となるマラセチアを取り除いたり、皮脂の分泌量をコントロールすることが重要となります。
男性に多く見られる薄毛であるAGAとは根本的に異なる脱毛症ではあるのですが、脂漏性脱毛症とAGAを併発するケースがそれほど珍しくないことも事実です。
仮に頭皮のベタつきにともなって抜け毛の量が増えている場合、脂漏性脱毛症とAGAを併発している可能性も疑われます。
AGAは進行型の脱毛症であるため、発症が疑われる場合は速やかに治療を開始することが求められます。脂漏性脱毛症やAGAがご心配な方は、新宿AGAクリニックの無料カウンセリングまでご相談ください。

【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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