牽引性脱毛症の原因と対策・治療方法|女性に限らず若い世代も要注意
抜け毛や薄毛は様々な原因によって起こりますが、髪型が原因で抜け毛や薄毛のリスクを高めるケースもあります。髪型が原因となって起こる抜け毛や薄毛の代表例が牽引性脱毛症です。牽引性脱毛症は、誰にでも起こり得る脱毛症なので抜け毛が増えているような方は注意が必要です。
こちらの記事では、牽引性脱毛症の原因や特徴、発症が疑われる場合の対策方法について解説しています。牽引性脱毛症が気になる方や、牽引性脱毛症を改善したいと考えている方は是非ご一読下さい。
目次
牽引性脱毛症とは
牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)は、抜け毛や薄毛の原因となる脱毛症の一種です。その他の脱毛症と比べた場合、以下のような特徴があります。
- ホルモンバランスとは関係がない
- 進行型ではない
- 誰にでも起こりうる
抜け毛や薄毛は男性にも女性にも共通するお悩みの1つですが、代表的な薄毛であるAGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)には、ホルモンバランスが深く関わっています。牽引性脱毛症の場合は、ホルモンバランスと関係なく発症するのが特徴です。
また、男性に見られる薄毛の大部分を占めるAGAには進行型という特徴があるのですが、牽引性脱毛症自体は進行型ではありません。ただ、牽引性脱毛症を引き起こす原因を取り除かないと、徐々に薄毛の範囲が広がる可能性はあります。
またAGAやFAGAが男性もしくは女性にしか起こらないのに対し、牽引性脱毛症は誰にでも起こり得ます。そのため、抜け毛が見られる場合は原因を特定することが重要です。
10代・20代の若い世代にも見られる
先ほど牽引性脱毛症は誰にでも起こり得る脱毛症と説明したのですが、10代や20代の若い世代にも見られるのが特徴です。その理由は、牽引性脱毛症が物理的な要因によって引き起こされるからです。
女性であっても年齢を重ねると髪の毛のボリュームが減少したり、髪の毛が細くなったりすることは珍しくありません。ただ、加齢に従って髪の毛の状態に変化が出るのは、ホルモンバランスにも変化が見られるからです。
牽引性脱毛症は先述したように、ホルモンバランスとは関係なく、頭皮に対する物理的な牽引力によって発症します。そのため、若い方であっても髪型などが原因で、牽引性脱毛症を発症する可能性があるのです。もちろん、中高年以降の方であっても牽引性脱毛症を発症する可能性はあります。
牽引性脱毛症の特徴
牽引性脱毛症を発症している場合、次のような特徴が見られます。
- 抜け毛に白い毛包やヒゲ根がある
- 生え際や分け目などの薄毛が目立つ
上記に当てはまるからといって必ずしも牽引性脱毛症を発症しているとは言えませんが、発症している可能性は高いため注意が必要です。それぞれについて解説します。
抜け毛に白い毛包やヒゲ根がある
牽引性脱毛症を発症している場合、抜け毛に白い毛包やヒゲ根を認めることがあります。髪の毛は頭皮から出ている毛幹(もうかん)と、頭皮下に隠れている毛根に分けられます。
髪の毛の根元にある丸く膨らんだ箇所が毛根ですが、毛包は毛根を包んでいる皮膚組織です。毛包には髪の毛が抜けないように保護する役割があるのですが、無理やり髪の毛を引き抜いたような場合、髪の毛が毛包ごと抜け落ちてしまいます。
自然な抜け毛は根本が丸く膨らんでおり、黒い色をしているのが特徴です。牽引性脱毛症に伴う抜け毛の場合、根本部分に白い毛包が認められます。
また、牽引性脱毛症に伴う抜け毛には、ヒゲ根が付着していることもあります。毛根に対する牽引力が働いた場合、毛根が変形してヒゲ根のようになることがあります。ヒゲ根も通常の抜け毛には見られません。
生え際や分け目などの薄毛が目立つ
牽引性脱毛症を発症した場合、生え際や分け目などの薄毛が目立つようになります。牽引性脱毛症はその名前からも分かるように、頭皮に対して牽引力が働いた結果として起こります。
生え際や分け目には髪型などが原因で牽引力が働きやすいため、牽引力が働いた結果として抜け毛が起こり、薄毛が目立つようになるのです。
脱毛症の中でも男性に多く見られるAGA(男性型脱毛症)を発症した場合であっても、生え際の薄毛が目立つケースはあります。
ただ、AGAの場合は額の生え際が両サイドから後退する(M字ハゲ)のが特徴です。牽引性脱毛症の場合は、M字ハゲになることはあまり多くありません。
ちなみに、牽引性脱毛症に伴う抜け毛は、髪の毛に対する直接的な外力というよりは、局所の血行不良によって起こるケースが多くなっています。
牽引性脱毛症の代表的な3つの原因
牽引性脱毛症の代表的な原因としては、以下の3例が挙げられます。
- 髪の毛を結んでいる
- エクステンションを使っている
- ヘアアイロンを使っている
上記の例に総じて共通しているのは、髪の毛に対して牽引力が加わっているということです。個々の例について詳しく解説します。
髪の毛を結んでいる
牽引性脱毛症を引き起こすもっとも分かりやすい原因が、髪の毛を結んでいることです。毎日のように同じ箇所で髪の毛を結んでいると、同じ箇所に牽引力が加わり続けます。代表的な髪型としてはポニーテールが挙げられます。
牽引力が加わった場所では血行不良が起こるため、髪の毛の成長にとって必要な栄養素が不足します。その結果、髪の毛が徐々に弱く、細くなってしまうのです。毎日のように同じ箇所で髪の毛を分けている場合も同様です。
髪の毛が弱く、細くなってしまうと、ちょっとした牽引力で抜けやすくなるといった悪循環にも陥りやすくなります。牽引性脱毛症は女性だけでなく、長髪にしている男性にも起こる可能性があります。
エクステンションを使っている
エクステンション(エクステ)を普段から使っていることが原因で、牽引性脱毛症を発症しやすくなる可能性もあります。エクステンションは髪の毛の根元に編み込むヘアアイテムの1つで、髪の毛のボリュームをアップさせたり、編み込みを楽しんだりできるのが特徴です。
ただエクステンションを使った分だけ、髪の毛や頭皮に加わる牽引力が増加するため、抜け毛や頭皮環境の悪化を招きやすくなります。
またエクステンションを付けたままブラッシングをすると、エクステンションを使っていないときよりも大きな負荷が髪の毛や頭皮に加わります。ウィッグやヘアアクセサリーを使っている場合も、エクステンションと同様に髪の毛や頭皮への負荷を高めます。
ヘアアイロンを使っている
ヘアアイロンを普段から使っていることも、牽引性脱毛症を発症する原因の1つです。ヘアアイロンは熱を利用して髪の毛の流れを生み出したり、トップを作ったりする器具ですが、ヘアアイロンで髪の毛を巻く際に、牽引力が生じる可能性もあります。
毎日のようにヘアアイロンを使っていると、牽引力によって抜け毛のリスクが高くなるだけでなく、髪の毛に加わるダメージが原因で、ちょっとした牽引力で抜け毛や切れ毛が起こりやすくなります。
ヘアアイロンと同様に、カールアイロンを使っている場合であっても、牽引力によって抜け毛を引き起こすリスクが高くなります。ヘアアイロンやカールアイロンを使うときは熱を加えすぎないだけでなく、髪の毛を引っ張り過ぎないよう注意しましょう。
牽引性脱毛の対策方法
牽引性脱毛症による抜け毛の可能性が疑われる場合は、次のように対策すると良いでしょう。
- 引っ張る原因を取り除く
- ヘアスタイルを変える
- 自毛植毛を受ける
それぞれについて詳しく解説します。
引っ張る原因を取り除く
牽引性脱毛症の代表的な3つの原因を見ても分かるように、髪の毛や頭皮に対する牽引力が加わると、牽引性脱毛症の発症リスクが高くなります。そのため、牽引性脱毛症が疑われる場合、髪の毛や頭皮が引っ張られる原因を取り除くことが重要です。
次項で紹介するように、ヘアスタイルを変えるのも1つの手です。ヘアアイロンやカールアイロンを使っている方は、髪の毛に対して熱を加えすぎないように気を付け、必要以上に髪の毛を引っ張らないよう意識しましょう。
髪の毛のブラッシングをする時に、強い力で引っ張るのではなく、優しく梳かすようにする必要があります。牽引性脱毛症の多くは物理的な外力によって生じるので、なるべく髪の毛が引っ張られないよう、普段から気を付けるようにしましょう。
ヘアスタイルを変える
牽引性脱毛症による抜け毛が疑われる場合、ヘアスタイルを変えるといった方法もあります。毎日のように髪の毛を結ぶ習慣がある方は、たまには髪の毛を結ぶのをやめ、頭皮を休ませる日を設けましょう。
牽引性脱毛症はいつも同じ場所で髪の毛を分けている場合も発症リスクが高くなります。そのため、分け目を変える、もしくは分け目を作らない髪型にするのも1つの手です。
若い女性の場合はエクステンションでオシャレを楽しむこともあるでしょうが、同じ箇所に負担が加わらないよう工夫することも重要です。ヘアスタイルを変えて頭皮を休ませる以外にも、頭皮マッサージをするといった対策法もあります。
自毛植毛を受ける
牽引性脱毛症に伴う薄毛の範囲が広がった場合、自毛植毛を受ける方法もあります。植毛と言いますと、男性の薄毛治療をイメージされる方も多いかもしれませんが、実際には女性であっても地毛植毛の施術を受けられる方は少なくありません。
自毛植毛は一般的に、後頭部の毛髪を毛穴ごと採取し、薄毛部分に移植するといった手法が採られます。女性の場合は男性より髪の毛が長いこともあり、傷跡が目立ちにくいなどのメリットがあります。
また自分の髪の毛を移植するため、拒絶反応を起こすリスクがほとんどありません。手術代が高額に思われるかもしれないのですが、10年というスパンで見た場合、その他の治療法と比べて割高ということはありません。
牽引性脱毛症の予防方法
牽引性脱毛症の発症を予防するためには、とにかく髪の毛や頭皮が引っ張られない状況を作ることです。牽引性脱毛症の予防法としては、主に次のような例が挙げられます。
- 髪を結ばない日を作る
- 結び方や分け目を変える
- エクステンションの量を減らす
- ヘアアイロンの使用回数を減らす
牽引性脱毛症のほとんどは、髪の毛や頭皮に加わる物理的な外力が原因となって起こります。そのため、抜け毛の量が目立つようになってきたら、まずは上記の点をチェックしてみましょう。
セルフケアでは牽引性脱毛症による抜け毛が治まらない場合、なるべく早めに専門家に相談することが重要です。自己判断で対処または放置していると、薄毛の範囲が広くなる恐れもあります。
AGA治療に関するご相談なら
牽引性脱毛症は女性だけでなく、男性であっても発症する可能性があります。原因の多くは髪の毛を結ぶ習慣やエクステンション、ヘアアイロンの使用といった、髪の毛や頭皮に加わる直接的な外力です。
ただ抜け毛の原因は実に様々であるため、髪の毛を結ぶ習慣があるからといって、必ずしも牽引性脱毛症による抜け毛とは断言できません。そのため、まずは抜け毛の原因を特定することが重要です。
新宿AGAクリニックでは、男性の薄毛だけでなく、女性に見られる抜け毛や薄毛のお悩みにもお応えしています。治療費や治療方法などが気になる方は、カウンセラーまで何でもご相談ください。
新宿AGAクリニックでは、カウンセリングが無料で受けられるだけでなく、無理に治療を勧めることもありませせん。まずは無料カウンセリングで、あなたのお悩みをお聞かせ下さい。

【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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