ジヒドロテストステロンを減らす方法-多い人の特徴や増える原因も
男性に見られる代表的な脱毛症であるAGAの発症には、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が深く関わっていると考えられています。
テストステロンが酵素の働きによりジヒドロテストステロンへと変換され、アンドロゲンレセプターと結合することで、抜け毛が引き起こされるためです。
本記事ではジヒドロテストステロンを減らす方法について解説します。AGA治療薬に頼るだけでなく、自分でも改善に取り組みたい方は参考にしてください。
目次
ジヒドロテストステロンを減らす方法
AGAの発症に関わるジヒドロテストステロンを減らすと、抜け毛を抑制することが期待できます。ジヒドロテストステロンを減らす方法としては、以下の4つが挙げられます。
- 普段の食事はDHT抑制で期待できる食べ物を摂取する
- 大豆製品と同時に緑茶を摂取する
- 有酸素運動で汗や尿から排出を促す
- 喫煙している場合は禁煙する
ジヒドロテストステロンを減らす4つの方法について詳しく解説します。
普段の食事はDHT抑制が期待できる食べ物を摂取
ジヒドロテストステロンを減らすためには、抑制が期待できる食べ物を積極的に取り入れることがおすすめです。ジヒドロテストステロンを減らすためにおすすめの成分としては、以下の4つがあげられます。
- 大豆に含まれるイソフラボン
- 牡蠣やレバーなどに含まれる亜鉛
- 納豆やキムチなどの発酵食品
- ミカンの皮に含まれるd-リモネン
ジヒドロテストステロンの抑制が期待できる4つの成分について詳しく見ていきましょう。
大豆に含まれるイソフラボン
ジヒドロテストステロンの抑制を期待できる成分の1つが、大豆に含まれるイソフラボンです。イソフラボンは植物性エストロゲンと呼ばれることもあり、体内で女性ホルモンの一種であるエストロゲンと似た働きをすることが分かっています。
男性の体内でも微量ながら女性ホルモンが分泌されているため、イソフラボンを積極的に摂取することで相対的に男性ホルモンであるジヒドロテストステロンの分泌量を減少させる結果に繋がるのです。
牡蠣やレバーなどに含まれる亜鉛
牡蠣やレバーなどに含まれる亜鉛にも、ジヒドロテストステロンの生成を抑制する働きが期待されています。AGAはテストステロンがジヒドロテストステロンへと変化し、抜け毛が増えることで進行します。
テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する際に、重要な役割を果たすのが5α-リダクターゼと呼ばれる変換酵素です。亜鉛には5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があるため、ジヒドロテストステロンを減らすことが期待できます。
納豆やキムチなどの発酵食品
ジヒドロテストステロンの抑制が期待できる食品の1つが、納豆やキムチなどの発酵食品です。発酵食品は健康にとって有益なだけでなく、抜け毛を予防する効果も期待されています。
納豆やキムチなどの発酵食品には、アミノ酸の一種であるポリグルタミン酸が多く含まれています。ポリグルタミン酸は納豆やキムチなどの旨味成分ですが、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する際に働く5α-リダクターゼの作用を抑制する効果も期待されているのです。
ミカンの皮に含まれるd-リモネン
ミカンの皮に含まれるd-リモネンも、ジヒドロテストステロンの抑制を期待できる成分の1つです。d-リモネンには、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する際に働く5α-リダクターゼの作用を抑制する作用が期待されています。
しかし、ミカンの皮をそのまま食べることは困難です。そのため、細かく刻んでケーキやクッキーに混ぜるなど工夫するとよいでしょう。スダチであれば皮をすりおろして、おつゆの風味付けにするのもおすすめです。
大豆製品と同時に緑茶を摂取
ジヒドロテストステロンを抑制する方法の1つが、大豆製品と緑茶を同時に摂取することです。大豆には女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似たはたらきがあるため、相対的にジヒドロテストステロンの量を減らすことが期待できます。
また、緑茶には体内でジヒドロテストステロンが生成される際に働く、5α-リダクターゼの作用を妨げる効果が期待されています。ただし、緑茶だけを積極的に摂取した場合には、かえってジヒドロテストステロンの量が増えるため注意が必要です。
有酸素運動で汗や尿から排出を促す
ジヒドロテストステロンを減らすためには、有酸素運動で汗や尿からの排出を促すことも効果的です。有酸素運動を行い、適度に水分を摂取すると、筋肉や筋膜などの軟部組織が伸縮し、古くなった体内の水分が排出されやすくなります。
ジヒドロテストステロンも汗や尿から体外へと排出されるため、普段から適度に身体を動かすようにしましょう。有酸素運動や筋トレを行った場合にはテストステロンの分泌量が増加しますが、直接的にAGAの発症や進行に繋がることはありません。
喫煙している場合は禁煙する
喫煙している場合には禁煙することも、ジヒドロテストステロンを減らすためには必要です。喫煙すると男性ホルモンの濃度が高くなるとされていますが、非喫煙者と比べた場合には、ジヒドロテストステロンの濃度が1.4倍に高くなることが分かっています。
また、タバコに含まれるニコチンには、毛細血管を収縮させる作用があります。頭部には多くの毛細血管が分布しているため、喫煙による血行不良が栄養状態の低下を引き起こした場合、髪の毛の成長が妨げられ、抜け毛のリスクを高めるため注意が必要です。
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ジヒドロテストステロンが多い人の特徴
ジヒドロテストステロンが多い人の特徴は以下の6つです。下記の例に多く当てはまる場合には、ジヒドロテストステロンの分泌量が増大している可能性も疑われます。
- AGA特有の薄毛症状が現れている
- 皮脂の分泌量が多い
- 体毛やひげが濃い
- ニキビに悩まされる
- 排尿障害を起こしやすくなる
- 家族にAGA発症者がいる
ジヒドロテストステロンが多い人の6つの特徴について解説します。
AGA特有の薄毛症状が現れている
ジヒドロテストステロンが多い人の特徴の1つが、AGA特有の薄毛症状が現れていることです。AGAを発症した場合には、額の生え際から後退したり、つむじまわりの薄毛が進行したりするなど、特徴的な薄毛の様相を呈します。
額の生え際やつむじまわりから薄くなる理由は、前頭部や頭頂部にAGAの原因である5α-リダクターゼが多く分布しているためです。そのため、額の生え際やつむじまわりの抜け毛が目立つ場合には、ジヒドロテストステロンが多いと考えられます。
皮脂の分泌量が多い
皮脂の分泌量が多いことも、ジヒドロテストステロンが多い人の特徴の1つです。ジヒドロテストステロンはアンドロゲンレセプターと結合して抜け毛のリスクを高めるだけでなく、皮脂腺のホルモンの受容体とも結合し、皮脂の分泌を促すことが分かっています。
思春期になるとニキビが目立つようになるのも、男性ホルモンの分泌量が増大し、皮脂の分泌が活発に行われるためです。男性の皮脂の分泌量は、40代から50代にかけて低下する傾向にありますが、中年期以降も皮脂の分泌量が多い場合、ジヒドロテストステロンが多いと考えられます。
体毛やひげが濃い
体毛やひげが濃いことも、ジヒドロテストステロンが多い人の特徴の1つです。ジヒドロテストステロンが体毛やひげに存在するアンドロゲンレセプターと結合した場合、インスリン様成長因子(IGF-1)などの細胞成長因子が生成されるため、体毛やひげを濃くする結果となるのです。
5α-リダクターゼには1型と2型の2種類があり、1型の5α-リダクターゼは全身の皮膚や皮脂腺に多く分布しており、2型の5α-リダクターゼは、前頭部や頭頂部の毛包に多く分布しています。
ニキビに悩まされる
ニキビに悩まされることも、ジヒドロテストステロンが多い人の特徴の1つです。先述したように、ジヒドロテストステロンが皮脂腺のホルモンの受容体と結合した場合、皮脂の分泌量を増大させることが分かっています。
皮脂の分泌量が多いと、皮膚から剥がれ落ちた角層やホコリ、老廃物などと混じり合って毛穴に詰まり、コメドを形成するリスクが高くなります。コメドを放置するとアクネ菌の増殖を招き、結果としてニキビができやすくなるのです。
排尿障害を起こしやすくなる
ジヒドロテストステロンが多い場合、排尿障害を起こしやすくなる可能性もあります。男性ホルモンの一種であるテストステロンが前立腺でジヒドロテストステロンへと変換された場合、前立腺が肥大するため尿の出が悪くなったり、尿漏れのリスクを高めたりします。
中年期以降に見られる排尿障害は、ジヒドロテストステロンの増加による前立腺肥大症の発症で起こるケースが多くなっています。そのため、排尿障害がある場合には、ジヒドロテストステロンが多い可能性も疑われます。
家族にAGA発症者がいる
家族にAGA発症者がいることも、ジヒドロテストステロンが多い人の特徴の1つです。AGAはテストステロンがジヒドロテストステロンへと変換されることで発症リスクを高めます。
テストステロンがジヒドロテストステロンへと変換される際、重要な役割を果たすのが5α-リダクターゼですが、5α-リダクターゼの活性は遺伝により左右されることが分かっています。そのため、家族にAGA発症者がいる場合、ジヒドロテストステロンが多い可能性も疑われるのです。
ジヒドロテストステロンが増える原因とは
AGAはジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターと結合することで発症リスクを高めますが、ジヒドロテストステロンが増える原因として次の3点が挙げられています。
- 5α-リダクターゼの活性が高い
- 生活習慣の乱れ
- ホルモンバランスの乱れ
ジヒドロテストステロンが増える3つの原因について解説します。
5αリダクターゼの活性が高い
ジヒドロテストステロンが増える原因の1つが、5α-リダクターゼの活性が高いことです。先述の通り、5α-リダクターゼの活性は遺伝により左右されることが分かっています。
5α-リダクターゼの活性が高いと、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変換されやすくなります。さらに、遺伝的にアンドロゲンレセプターの感受性が高い場合、ジヒドロテストステロンと結合しやすくなるため、AGAの発症リスクを高めるのです。
生活習慣の乱れ
生活習慣が乱れていることも、ジヒドロテストステロンが増える原因の1つです。例えば日頃から身体を動かす習慣がない人や、水分の摂取量が少ない人の場合、汗や尿からジヒドロテストステロンが排出されにくくなるため、体内のジヒドロテストステロン濃度が高くなる結果となります。
また、長期間の喫煙により男性ホルモンの濃度が高くなると、ジヒドロテストステロンの分泌量を増加させることが分かっています。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れも、ジヒドロテストステロンが増える原因の1つです。ストレスなどが原因で自律神経のバランスが乱されると、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量が増加するため、結果としてジヒドロテストステロンの量も増えてしまうのです。
近年では女性の中にも薄毛に悩まされる方が少なくありませんが、女性の体内でも男性ホルモンが分泌されており、更年期などに女性ホルモンの分泌量が減少すると、相対的に男性ホルモンの割合が増加するため、抜け毛を引き起こしやすくなるのです。
ジヒドロテストステロンを減らすにはAGA治療薬も有効
ジヒドロテストステロンを減らすためには、AGA治療薬の服用も効果的です。ジヒドロテストステロンを減らす代表的な治療薬が以下の2つです。
- フィナステリド内服薬
- デュタステリド内服薬
ジヒドロテストステロンを減らす2つの治療薬について解説します。
フィナステリド</3>
フィナステリドはもともと男性に見られる前立腺肥大症の治療に用いられていた成分ですが、服用した方の中に発毛例が認められたことから、低用量のフィナステリド内服薬がAGAの治療目的で開発されました。
フィナステリドには主に2型の5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があります。5α-リダクターゼの働きが妨げられると、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変換されなくなるため、ジヒドロテストステロンを減らすことが期待できます。
デュタステリド</3>
デュタステリドにもフィナステリドと同様に、5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があります。しかし、フィナステリドが主に2型5α-リダクターゼの働きを阻害するのに対し、デュタステリドには1型・2型両方の5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があります。
そのため、AGA治療においてはフィナステリドよりもデュタステリドの方が高い効果を発揮すると期待されているのです。ただし、治療効果が高い分だけ、副作用のリスクも増すため服用の際には医師の指導を仰ぐことが欠かせません。
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ジヒドロテストステロンを減らしたいなら新宿AGAクリニックへ
ジヒドロテストステロンを減らしたいなら、新宿AGAクリニックまでご相談ください。ジヒドロテストステロンの量が多いと、アンドロゲンレセプターと結合して抜け毛を促進し、AGA(男性型脱毛症)を進行させてしまう恐れがあります。
近親者にAGAを発症している方がいる場合はもちろんですが、皮脂の分泌量が多くてニキビができやすい方や、体毛やひげが濃い方、前頭部や頭頂部の抜け毛が目立つ方などは、ジヒドロテストステロンの量が多い可能性も疑われます。
AGAは進行型の脱毛症であるため、発症が疑われる場合にはジヒドロテストステロンを減らすことが重要です。食習慣や運動習慣の見直しなど、セルフケアで改善が見られない場合には、なるべく早めに新宿AGAクリニックまでご相談ください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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