フィナステリドとデュタステリドはどっちがいい?併用しても大丈夫?
男性に多く見られる脱毛症であるAGAは、現在クリニックなどで治療できる時代となっており、治療薬の1つがフィナステリドやデュタステリドを配合した医薬品です。
こちらの記事では、フィナステリドとデュタステリドに期待されている効果や両者の違い、併用の可否などについて解説します。両剤を服用する際の注意点も紹介しているため、AGAに悩まされている方は参考にしてください。
目次
フィナステリドとデュタステリドのそれぞれの効果
フィナステリドとデュタステリドは、AGA治療に用いられる医薬品に含まれる代表的な成分です。両者には以下のような特徴があります。
有効成分 | 代表的な治療薬 | 期待される効果 | 主な副作用 |
フィナステリド | プロペシア | 抜け毛を抑制 | リビドー減退 |
デュタステリド | ザガーロ | 抜け毛を強く抑制 | 性機能不全 |
フィナステリドとデュタステリドの特徴について、次項以下でさらに詳しく紹介します。
フィナステリドの効果
フィナステリドを有効成分として配合する代表的な治療薬がプロペシアです。プロペシアは世界で初めてAGA治療薬として開発され、現在60ヶ国以上で薄毛治療に用いられています。
フィナステリドは、もともと男性に見られる前立腺肥大の治療薬として用いられていましたが、服用する方に発毛が見られたため、低用量のフィナステリド錠がAGA治療に用いられるようになりました。
フィナステリドにはAGAの原因となる5α-リダクターゼの働きを阻害し、抜け毛を引き起こすジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制する効果が期待されています。
デュタステリドの効果
デュタステリドは男性に見られる前立腺肥大症の治療薬「アボルブ」の有効成分として用いられていましたが、抜け毛を抑制する効果が確認されたため、AGA治療薬としてザガーロが開発されました。
デュタステリドにもフィナステリドと同じく、AGAの原因となる5α-リダクターゼの働きを阻害し、抜け毛を抑制する効果が期待されています。
プロペシアに続きザガーロに関しても国内での特許期間が過ぎたため、安価に利用できるジェネリック医薬品が各製薬会社から販売されています。
フィナステリドとデュタステリドの違い
フィナステリドとデュタステリドには、いずれもAGAの原因となる5α-リダクターゼの働きを阻害し、抜け毛を抑制する効果が期待されています。両者の主な違いとしては、以下の点が挙げられます。
有効成分 | 作用 | 半減期間 |
フィナステリド | 主にⅡ型の5α-リダクターゼに作用 | 3時間~4時間半 |
デュタステリド | Ⅰ型・Ⅱ型両方の5α-リダクターゼに作用 | 3日~7日 |
両者の違いについて、次項以下でさらに詳しく解説します。
5αリダクターゼⅠ型・Ⅱ型を阻害できるかどうか
フィナステリドとデュタステリドの違いの1つが、5α-リダクターゼに対する作用です。5α-リダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類があり、かつてはⅡ型の5α-リダクターゼがAGAに関与していると考えられていました。
しかし、研究が進むにつれⅠ型の5α-リダクターゼもAGAの発症に関わることが分かってきました。フィナステリドは主にⅡ型の5α-リダクターゼを抑制する作用があり、デュタステリドにはⅠ型・Ⅱ型双方の5α-リダクターゼを抑制する作用があります。
薬を服用していない期間でどのくらい効果が持続するのか
血液中の医薬品の有効成分が半分に減少するまでの期間を半減期と呼んでおり、フィナステリドの場合はおよそ3時間~4時間半、デュタステリドの場合はおよそ3日~7日で血中濃度が半減するとされています。
5α-リダクターゼに対する作用の違いと半減期の長さから、デュタステリドの方が、効果が高いと考えられています。
フィナステリドとデュタステリドの価格相場
AGAは進行型の脱毛症のため、いったん発症が確認されたら根気強く治療を続ける必要があります。その際にネックとなるのが治療薬の価格ではないでしょうか。
そこで、フィナステリドを有効成分とするプロペシアと、デュタステリドを有効成分とするザガーロ、および両者のジェネリック医薬品について価格相場を紹介します。
フィナステリドの価格相場
主な治療薬 | 価格相場(1ヶ月分28錠) | 販売元 | |
先発医薬品 | プロペシア | 6,000円~8,000円 | オルガノン株式会社 (旧MSD株式会社) |
ジェネリック | フィナステリドなど | 3,800円~6,000円 | 沢井製薬・ファイザー 東和薬品株式会社など |
ジェネリックには先発医薬品と同じ有効成分が含まれているため、AGA治療においても同等の効果が期待されます。ただし、配合されている添加物などは異なるため、アレルギーなどを確認して服用することが重要です。
デュタステリドの価格相場
主な治療薬 | 価格相場(1ヶ月分28錠) | 販売元 | |
先発医薬品 | ザガーロ | 9,000円~ | グラクソ・スミスクライン株式会社 |
ジェネリック | デュタステリドなど | 6,000円~ | 沢井製薬・第一三共 東和薬品株式会社など |
ザガーロは国内で2016年の6月に販売開始されましたが、用途特許が2020年で満了を迎えたため、各製薬会社から多くのジェネリック医薬品が販売されています。
フィナステリド・デュタステリド双方ともに安価なジェネリック医薬品を利用できるようになったため、AGA治療を続ける方にとっては朗報となっています。
フィナステリドとデュタステリドの服用で注意すべきポイント
両剤には、服用時に摂取しない方がよい医薬品や食品があります。それぞれの有効成分について、次項以下でさらに詳しく見ていきましょう。
フィナステリドの場合
フィナステリドを服用しているときに避けるべき食品として、グレープフルーツが挙げられています。医薬品の有効成分は主に肝臓や消化管の粘膜で代謝されますが、代謝をする際に必要となる酵素がCYP3A4(チトクロムP450 3A4)です。
植物のほとんどがポリフェノールを内包していますが、グレープフルーツに含まれているポリフェノールの一種、フラボノイドにはCYP3A4の働きを阻害する作用があります。
CYP3A4の働きが阻害されると医薬品の代謝が妨げられるため、薬が効き過ぎてしまったり、副作用のリスクを高めたりする恐れがあります。
反対に、フィナステリドが肝臓で代謝されないと、有効成分の持つ作用が十分に発揮されず、効果が下がってしまう恐れもあるため注意が必要です。
また、抗ウィルス薬やニトログリセリン、ミコナゾールなどを服用中の方は、フィナステリド錠を服用する前に医師に相談することが欠かせません。
デュタステリドの場合
デュタステリドもフィナステリドと同様に、薬の服用中はグレープフルーツの摂取を避けた方が無難です。
また、デュタステリドを服用中にプロテアーゼ阻害薬やマクロライド抗生物質、アゾール系抗真菌薬などを併用すると、有効成分が働きすぎる恐れもあるため注意が必要です。
フィナステリドとデュタステリドに関するQ&A
AGAの治療に用いられるフィナステリドとデュタステリドですが、薄毛が気になる方や治療中の方からは、以下のような質問が多く寄せられています。
- フィナステリドとデュタステリド、生え際・頭頂部に効果があるのはどっち?
- フィナステリドとデュタステリドは併用して飲んでも大丈夫?
- フィナステリドからデュタステリドに切り替えると効果はあるの?
ここでは、フィナステリドとデュタステリドに関するQ&Aについて紹介します。
フィナステリドとデュタステリド、生え際・頭頂部に効果があるのはどっち?
AGAは5α-リダクターゼの働きによって男性ホルモンの一種であるテストステロンがジヒドロテストステロンへと変化し、抜け毛を引き起こすサイトカインを生成することで進行する点が特徴です。
5α-リダクターゼにはⅠ型・Ⅱ型の2種類があるということでしたが、Ⅰ型の5α-リダクターゼが全身の皮脂腺に多く分布しているのに対し、Ⅱ型の5α-リダクターゼや頭頂部や前頭部の毛包に多く分布しています。
フィナステリドとデュタステリドはいずれもⅡ型の5α-リダクターゼに作用するため、生え際や頭頂部の薄毛に関してはどちらも効果的と言えます。
フィナステリドとデュタステリドは併用して飲んでも大丈夫?
フィナステリド内服薬とデュタステリド内服薬は、原則として併用禁忌となっています。その理由として、似たような作用を持つ両剤を併用することは想定されておらず、両剤の副作用が一層強く出る可能性があるためです。
より高い発毛効果を得たいのであれば、フィナステリドおよびデュタステリドとは異なる作用機序を持つミノキシジル外用薬の併用がおすすめです。
フィナステリドからデュタステリドに切り替えると効果はあるの?
フィナステリドからデュタステリドに切り替えると治療効果が改善する可能性があります。かつてはAGAがⅡ型の5α-リダクターゼによって引き起こされると考えられていましたが、近年の研究によりⅠ型の5α-リダクターゼもAGAに関わることが分かってきました。
フィナステリドは主にⅡ型の5α-リダクターゼの働きを阻害しますが、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の双方に作用する点が特徴です。
また、有効成分の半減期もデュタステリドの方が長いため、フィナステリド内服薬でなかなか効果が感じられない方は、デュタステリド内服薬に切り替える方法があります。
AGA治療に関するご相談なら「新宿AGAクリニック」へ
フィナステリドとデュタステリドには、AGAの原因となる5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があるため、いずれも多くのクリニックでAGA治療に用いられています。
デュタステリドを有効成分として配合するザガーロは、フィナステリドを有効成分としているプロペシアよりも新しく、高い効果を期待されています。
新宿AGAクリニックでは正規品のプロペシアやザガーロはもちろん、ジェネリックのフィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬も扱っているため、リーズナブルに治療を受けることが可能です。
カウンセリングは無料で受けられるため、AGA治療に関するご相談なら「新宿AGAクリニック」までお気軽にお問い合わせください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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