ケトコナゾールとは?効果・効能や副作用を知って正しく治そう
薄毛の種類や治療法はさまざまですが、ケトコナゾールも脱毛症の治療に用いられる医薬品の1つです。ケトコナゾールだけを用いて薄毛の改善を図ることもあれば、他の治療薬と併用して発毛効果を高めるケースもあります。
こちらの記事では、ケトコナゾールの効果・効能や副作用の可能性、および使用を注意すべき人や部位について詳しく解説します。薄毛の治療法や薬について調べていてケトコナゾールにたどり着き、効果を知りたい方は参考にしてください。
目次
ケトコナゾールの効果・効能とは
ケトコナゾールには、次のような効果および効能が期待されています。
- 脂漏性皮膚炎の改善
- 育毛作用
- 脂漏性皮膚炎以外の皮膚真菌症の改善
始めにケトコナゾールの効果や効能について詳しく解説します。抜け毛や薄毛には関係ないように思われるかもしれませんが、頭皮や髪の毛に対してケトコナゾールはどのように作用するのでしょうか。
脂漏性皮膚炎の改善
ケトコナゾールの効果や効能の1つが、脂漏性皮膚炎を改善することです。脂漏性皮膚炎は炎症性の皮膚疾患で、頭皮の常在菌であるマラセチア(真菌の一種)が異常に繁殖することで、発症リスクを高めます。
マラセチアには皮脂をエサとして繁殖する性質があるため、皮脂の分泌量が多い場所であればどこでも脂漏性皮膚炎を発症する可能性があります。頭皮は身体の中でも皮脂の分泌量が多い箇所であるため、脂漏性皮膚炎を発症することが少なくありません。
脂漏性皮膚炎はその他の炎症性皮膚疾患とは異なりかゆみがあまりないため、発症に気づくのが遅れると、回復までに時間が掛かることも珍しくありません。また、脂漏性皮膚炎はAGA(男性型脱毛症)とも密接に関係していると考えられています。
育毛作用も
ケトコナゾールの効果や効能の1つが育毛作用です。脂漏性皮膚炎の治療薬としてよく用いられるケトコナゾールですが、近年の研究によって育毛作用を期待できることが分かってきています。
男性に見られる代表的な脱毛症であるAGAは、酵素の一種である5α-リダクターゼが活発に働き、男性ホルモンのバランスを乱すことで発症リスクが高まります。ケトコナゾールには5α-リダクターゼの働きを抑制する作用があるため、他の治療薬や育毛剤と併用することが推奨されているのです。
その他の適用病名一覧
ケトコナゾールは真菌の一種であるマラセチアの異常繁殖による脂漏性皮膚炎の治療や、AGAによる薄毛の改善目的で利用されています。その他にも、ケトコナゾールは以下のような病気の治療にも用いられています。
- 白癬(足白癬・体部白癬・股部白癬など)
- 皮膚カンジダ症(指間糜爛症・間擦疹・乳児寄生菌性紅斑など)
- 癜風
ケトコナゾールは抗真菌作用があるため、細菌感染によって起こる上記の皮膚真菌症の改善に効果を発揮します。
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ケトコナゾールの副作用は?
ケトコナゾールに限らず、化学的に製造された医薬品には副作用のリスクが伴いますが、ケトコナゾールに関しては副作用発現頻度が明確となる調査はおこなわれていません。発現頻度は不明ながら、ケトコナゾールの使用により、以下のような副作用を引き起こす可能性があります。
副作用の種類 | 具体的な症例 |
皮膚症状 | 蕁麻疹・掻痒感・接触性皮膚炎・紅斑・発赤・糜爛・刺激感・水疱・亀裂・発疹・灼熱感・皮膚剥脱など |
適用部位に見られる反応 | 乾燥・炎症・出血・不快感・浮腫・錯感覚・など |
免疫系の障害 | 過敏症など |
その他の副作用 | 尿蛋白など |
いずれの副作用の発現頻度は不明とされますが、ケトコナゾールの使用に伴い上記の副作用が起こった場合には、使用を中止して医師の診察を受けることが重要です。
ケトコナゾール使用を注意すべき人・部位
ケトコナゾールの使用を注意すべき人や部位は以下の通りです。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある人は禁忌
- 妊婦・授乳婦・小児
- 角膜、結膜、著しい糜爛面
ケトコナゾールの使用を注意すべき人や部位について詳しく解説します。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある人は禁忌
ケトコナゾールの使用を注意すべき人としては、過去に同剤を使用して過敏症やアレルギー反応などを引き起こした経験のある人が挙げられます。ケトコナゾールは塗り薬のため、内服薬に比べると副作用のリスクが低いと考えられています。
ただ、肌質によっては過敏症やアレルギー反応などを引き起こす可能性もあるため注意が必要です。ケトコナゾールを塗ったときの軽微な刺激感は問題ありませんが、皮膚が過敏に反応するようであれば使用を中止して専門医の診察を受けましょう。
妊婦・授乳婦・小児
妊婦や授乳婦、小児に関しては、ケトコナゾールを使用する際に注意が必要です。妊婦や妊娠の可能性がある女性に関しては、ケトコナゾールを使用するメリットが、健康被害などの危険性を上回る場合にのみ使用が認められています。
授乳婦に関しては、母乳を通して乳児に悪影響を及ぼす可能性があるため、原則としてケトコナゾールの使用が禁止されています。どうしてもケトコナゾールを使いたい場合には、授乳の中止も検討しなければなりません。
乳児に関してはケトコナゾールの使用に関する臨床試験が行われていません。そのため、乳児の年齢や症状、ケトコナゾールの有益性、および治療にともなう危険性を鑑みた上で、使用するかどうかが検討されます。
角膜、結膜、著しいびらん面
ケトコナゾールの使用を禁止する箇所として、角膜や結膜、および著しい糜爛面(びらんめん)が挙げられています。ケトコナゾールの中でも液剤は浸透力が特に強いため、皮膚が分厚い箇所に用いることが基本です。
眼科用として角膜や結膜に対して用いることは禁止されています。皮膚に著しい糜爛(びらん・ただれること)が見られる場合にも使用を控えましょう。また、他の治療薬を使用中の場合は、医師の診察を受けてから使用することが重要です。
ケトコナゾールの塗り方・使い方
ケトコナゾールには、クリームやローションなどいくつかのタイプがあります。それぞれのタイプのケトコナゾールは、以下のように使用することが基本です。
- ケトコナゾールクリームは頭皮以外の発生箇所に使用
- 頭皮ならケトコナゾールローションを使用
- 頭皮用ならシャンプータイプもあり
ケトコナゾールの塗り方や使い方について詳しく解説します。
ケトコナゾールクリームは頭皮以外の発生箇所に
クリームタイプのケトコナゾール外用薬は、1日に2回、患部に塗布することが一般的です。特に脂漏性皮膚炎の治療に対してクリームタイプのケトコナゾールを利用する場合には、頭皮以外の症状に対して適しています。
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌量が多い箇所であればどこにでも発症するリスクがあるのですが、頭皮に関してはクリームが髪の毛に付着してしまうため、ローションタイプやシャンプータイプのケトコナゾールを利用した方が良いでしょう。
頭皮ならケトコナゾールローションを使用
頭皮に脂漏性皮膚炎の症状が認められる場合には、ローションタイプのケトコナゾールを利用することが効果的です。ローションタイプのケトコナゾールは、クリームタイプよりも皮膚への浸透力に優れている点が特徴です。
そのため、頭皮をはじめ体毛が濃い箇所や、皮膚が角化して分厚くなっている箇所の治療に適しています。脂漏性皮膚炎だけでなく、AGA(男性型脱毛症)の治療にも、一般的にはローションタイプのケトコナゾールが用いられています。
頭皮用ならシャンプータイプも
脂漏性皮膚炎を始めとする頭皮の症状を改善する場合には、シャンプータイプのケトコナゾールを使用する方法もあります。また、ケトコナゾールシャンプーは、世界で唯一、AGA治療の効果が認められた医薬品としてのシャンプーでもあります。
日本皮膚科学会が策定する男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、ケトコナゾールの外用はC1の行なっても良い治療法に分類されています。
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ケトコナゾールにまつわるよくある質問
ケトコナゾールに関しては、次のような質問が多く寄せられています。
- ケトコナゾールは市販で売ってる?
- ケトコナゾールはニキビにも効く?
- ケトコナゾールは水虫にも効果はある?
ケトコナゾールにまつわる3つの質問にお答えします。
ケトコナゾールは市販で売ってる?
ケトコナゾールは医療用医薬品であるため、クリームタイプやローションタイプのケトコナゾールはもちろん、ケトコナゾールシャンプーも薬局やドラッグストアなどで購入することは出来ません(2022年の1月時点)。
海外製のケトコナゾールを個人輸入したり、代理店から購入したりすることは可能ですが、仮に自分の判断で医師の処方によらない医薬品を使用し、重篤な副作用が起こったとしても、国による救済措置が受けられないことを知っておく必要があります。
ケトコナゾールはニキビにも効く?
ケトコナゾールは、ニキビのタイプによっては効果が期待できます。ケトコナゾールには過剰な皮脂の分泌を抑制する作用があるため、広範囲にわたってニキビが見られる方や、皮脂の分泌量が多い方におすすめの外用薬とされています。
ただし、ニキビの発症に伴い強い色素沈着が見られる場合や、ニキビ跡を残してしまう可能性がある場合には、ケトコナゾールで対処するのではなく、皮膚科の専門医の診察を受け、適切な治療を行うことが重要です。
ケトコナゾールは水虫にも効果はある?
ケトコナゾールの効果や効能の項目で説明したように、ケトコナゾールには脂漏性皮膚炎以外の皮膚真菌症の改善効果が期待されています。
水虫は正式名称を白癬(はくせん)と言い、足が白癬菌に感染することで発症します。白癬菌に感染した箇所により、体部白癬や臀部白癬などと呼び分けられています。
頭部で白癬菌への感染が起こった場合には、頭皮のかゆみやカサカサとした鱗のような斑を認めるのが特徴です。頭部の白癬に関しては、ローションタイプのケトコナゾールの使用が推奨されています。
ケトコナゾール処方適用か確認するなら新宿AGAクリニックへ
薄毛や抜け毛にはさまざまな原因がありますが、ケトコナゾールの処方が適用されるか確認するのであれば、新宿AGAクリニックまでご相談ください。
新宿AGAクリニックではAGA(男性型脱毛症)だけでなく、FAGA(女性型脱毛症)や円形脱毛症など、さまざまな薄毛や抜け毛のお悩みにお応えしています。
カウンセリングは無料で受けることができるため、治療に関するご質問や費用に関するご相談など、何でも専門のカウンセラーまでお問い合わせください。
薄毛や抜け毛がAGAによって起こっている場合には、速やかに治療を開始することが求められます。まずは薄毛や抜け毛の原因を突き止め、自分に合った適切な治療を受けるようにしましょう。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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