AGAの初期症状とは?治療前や後で起こる初期脱毛についても解説
AGA治療を始めると、しばらくして一時的に抜け毛の量が増え始める時期があり、その症状を初期脱毛と呼びます。薄毛治療を始めたのに、抜け毛が増えると驚いて治療薬の服用を中断する方も少なくありません。
しかし、初期脱毛は医薬品の効果が現れ始めている証拠でもあるため、自分の判断でAGA治療を中断するのはおすすめできません。こちらの記事では、AGAの初期症状や初期脱毛が起こる理由、および抜け毛がひどい時期を乗り越える方法について解説します。
目次
AGAを発症するとどのような初期症状が起こるのか?
AGAは男性に見られる代表的な脱毛症で、思春期以降に発症して徐々に進行するという点が特徴です。AGAを発症すると、初期症状として以下のような髪の毛および頭皮の変化が見られます。
- 髪のハリコシが低下する
- 生え際や頭頂部が後退する
- 抜け毛が増える
- 頭皮にかゆみが生じる
はじめに、AGAを発症するとどのような初期症状が起こるのかについて解説します。
髪のハリコシが低下する
AGAを発症すると、初期症状として髪の毛のハリおよびコシの低下が見られます。髪の毛のハリやコシが低下する理由について理解するためには、ヘアサイクルを知っておく必要があります。
成長期 |
毛母細胞の分裂が活発に繰り返され、髪の毛が強く・太く成長する時期。ヘアサイクル全体のおよそ85%〜90%を占める。 |
退行期 |
毛母細胞の分裂が鈍くなり、髪の毛の成長が終わりに向かう時期。ヘアサイクル全体のおよそ1%を占める。 |
休止期 |
毛母細胞の分裂が完全に停止、髪の毛が頭皮から抜け落ちるのを待つ時期。ヘアサイクル全体のおよそ10%〜15%を占める。 |
ヘアサイクルはおよそ3年〜5年周期で繰り返されますが、AGAを発症すると髪の毛の成長期がおよそ半年〜1年に短縮されます。
ヘアサイクルの成長期が短くなると髪の毛が十分に太く・強く成長しないため、ハリやコシのない髪の毛が増えるのです。
生え際や頭頂部が後退する
AGAに特徴的な初期症状の1つが、生え際や頭頂部が後退する点です。生え際や頭頂部が後退する理由について理解するためには、AGAのメカニズムについて知っておく必要があります。
- 男性ホルモンの一種であるテストステロンが、活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変化する
- ジヒドロテストステロンがアンドロゲン受容体と結びつきTGF-βを生成する
- TGF-βによりヘアサイクルの成長期が短縮され抜け毛のリスクが増加する
テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する際に、触媒として重要な働きをするのが酵素の一種である5α-リダクターゼです。
5α-リダクターゼは主に前頭部や頭頂部の毛包に多く分布しているため、AGAを発症すると生え際や頭頂部が後退しやすくなります。
抜け毛が増える
AGAの初期には抜け毛が増える点も特徴です。前述の通り男性ホルモンの一種であるテストステロンがジヒドロテストステロンへと変化すると、サイトカインの一種であるTGF-βが生成されます。
TGF-βは退行期誘発因子とも呼ばれており、ヘアサイクルの正常な成長期を短縮し、退行期を早く訪れさせる点が特徴です。
ヘアサイクルは毛穴ごとに異なりますが、TGF-βによって成長期が短くなった毛穴が増えるにつれ、抜け毛のリスクが増加します。
頭皮にかゆみが生じる
AGAの原因の1つであるジヒドロテストステロンは、皮脂の分泌量を増加させる点が特徴です。皮脂の分泌量が増加すると常在菌の一種であるマラセチアが異常繁殖し、脂漏性(しろうせい)皮膚炎を引き起こすリスクが高くなります。
脂漏性皮膚炎を発症すると、頭皮のかゆみや赤みが生じやすくなります。脂漏性皮膚炎が直接的に抜け毛を引き起こすわけではありませんが、しばしばAGAと併発するため注意が必要です。
AGAの初期症状が起きる原因とは?
AGAを発症すると髪の毛のハリやコシが失われて抜け毛のリスクが増加するうえ、頭皮のかゆみや赤みを生じる可能性が高くなります。
AGAの初期に上記のような症状が現れる理由としては以下の4点が挙げられます。
- 遺伝
- ホルモンバランスの乱れ
- ヘアサイクルの乱れ
- 血流の悪化
ここでは、AGAの初期症状が起きる4つの原因について解説します。
遺伝
AGAの初期症状が現れる原因の1つが遺伝です。AGAの発症にはジヒドロテストステロンと、5α-リダクターゼが深く関わっています。
ジヒドロテストステロンがアンドロゲン受容体に結合してTGF-βを生成すると、髪の毛の成長期が短縮されて抜け毛のリスクが増加します。
男性ホルモンの一種であるテストステロンが、ジヒドロテストステロンへと変化する際に重要な働きをするのが5α-リダクターゼである点については前述の通りです。
実は、アンドロゲン受容体の感受性および5α-リダクターゼの活性度は、遺伝によって左右されることが分かっています。
そのため、遺伝的に5α-リダクターゼの活性度が高く、アンドロゲン受容体の感受性が高い場合、AGAを発症するリスクが高くなります。
ホルモンバランスの乱れ
筋力トレーニングに取り組むと男性ホルモンの一種であるテストステロンが増加すると分かっていますが、反対に運動不足により筋力が低下すると、テストステロンの分泌量が減少します。
テストステロンは男性らしい身体を作るだけでなく、生殖機能を向上させたり心身の健康状態を保ったりする作用を持つ点が特徴です。
筋力の低下などが原因でテストステロンが減少すると、男性ホルモンの働きを維持するためジヒドロテストステロンが生成されやすくなり、結果としてAGAの発症リスクが高くなります。
運動不足だけでなく睡眠不足や睡眠の質の低下、ストレス、偏った栄養バランスの食事などもホルモンバランスを乱す原因となるため注意してください。
ヘアサイクルの乱れ
AGAの初期症状でも触れたように、何らかの原因によりヘアサイクルの成長期が短縮すると、髪の毛のハリやコシが失われ、抜け毛のリスクを高めます。
ヘアサイクルが乱れる原因はAGAの発症だけでなく生活習慣の乱れやストレス、飲酒・喫煙の習慣、誤ったヘアケアなどさまざまです。
遺伝的要因に加えて生活習慣の乱れなどが加わると、さらに抜け毛のリスクが増加するため注意が必要です。
血流の悪化
血液は全身に酸素と栄養を運んでおり、血流が悪化した箇所では栄養状態の低下が起こります。
頭皮に送られる血液の量が減少すると、髪の毛を成長させるための栄養が不足するため、髪の毛のハリやコシが失われたり、抜け毛を引き起こしたりするリスクが増加します。
血流の悪化を引き起こす原因は、冷えや筋力の低下、自律神経のバランスの乱れ、運動不足、水分不足、偏った栄養バランスの食事、喫煙習慣などさまざまです。
AGA治療による初期脱毛は見た目がひどい?なぜスカスカになってしまうのか?
AGA治療は投薬治療から始めるのが一般的ですが、治療開始から1週間ほどして抜け毛の量が一時的に増え、およそ3ヶ月続く初期脱毛を引き起こすケースがあります。
初期脱毛は主に以下2つのAGA治療薬により、発症する可能性があると報告されています。
- ミノキシジル
- ザガーロ
ここでは、AGA治療によって初期脱毛が起こるメカニズムについて解説します。
ミノキシジル
ミノキシジルは1960年代のアメリカで高血圧の治療に用いられていましたが、服用者に発毛が見られたため低用量のミノキシジル外用薬が開発されました。
ミノキシジルには血管を拡張して血液の循環を促したり、毛母細胞の死滅を抑制して発毛シグナルを促進したりする作用があります。
AGA治療にミノキシジルを用いると、ヘアサイクルが正常化して太く・強い髪の毛が成長しはじめ、AGAの発症により弱く・細くなった髪の毛が押し出されるようにして抜け落ちます。
上記の一連の流れがミノキシジルによる初期脱毛が起こるメカニズムです。つまり、初期脱毛はミノキシジルの効果が現れている裏返しとも言えます。
ザガーロ
ザガーロは2016年の6月に発売された比較的新しいAGA治療薬で、世界で初めて開発されたプロペシアよりも高い抜け毛予防効果を持つ点が特徴です。
また、海外で行われた臨床試験では、ザガーロの投与によりジヒドロテストステロンの濃度が低下し、発毛作用が乱れたとの報告がされています。
ザガーロの服用にともない太く・強い髪の毛が成長すると、AGAの発症により弱々しくなった髪の毛が押し出される初期脱毛を起こす可能性があります。
AGAの治療中に初期脱毛が起きない場合もあるの?
結論から言うと、AGAの治療中に初期脱毛が起きないケースは珍しくありません。初期脱毛はAGA治療薬の副作用というよりは、治療中の方の主観的感想に近い部分があります。
実際に、治療薬を用いてAGAの改善を行っている方のおよそ70%は、特に初期脱毛の自覚がありません。特にAGAを発症して間もない方や若い方、髪の毛がまだ多く残っている方などは、初期脱毛を感じにくい傾向にあります。
初期脱毛が見られなくても治療薬の効果が出ていない訳ではないため、安心して治療を続けるのがおすすめです。
AGAによる初期脱毛を乗り越えるためにはどうしたらいい?
AGAによる初期脱毛は治療薬の効果が現れている裏返しとはいうものの、抜け毛が増えると心配になる方もいるでしょう。
抜け毛の量が増えて心配な方はAGA治療薬の服用を中断するのではなく、以下のような対処を試してみるのがおすすめです。
- 生活習慣を改善する
- ヘアケアの方法を見直す
- 医療機関を受診する
ここでは、AGA治療薬による初期脱毛を乗り越える3つの対処法について解説します。
生活習慣を改善する
AGAの発症には遺伝的な要因が深く関わっていますが、偏った栄養バランスの食事や睡眠不足、飲酒・喫煙習慣などが原因でヘアサイクルが乱されると、さらに抜け毛のリスクが増加します。
髪の毛はタンパク質の一種であるケラチンで作られるため、日常の食事にタンパク質を積極的に取り入れ、アミノ酸を再合成する働きがある亜鉛も欠かさないようにしましょう。
睡眠不足が続くと夜間に分泌される成長ホルモンの量が減少し、毛母細胞の分裂が鈍くなります。1日に6時間から7時間の睡眠時間を確保し、可能な限り早寝早起きを心がけ、ヘアサイクルが乱れないようにしてください。
お酒を飲む方は適量を心がけ、1週間に2回は休肝日を設けるなど工夫する必要があります。喫煙は毛細血管の収縮を招くため、AGA治療中は禁煙するのがおすすめです。
ヘアケアの方法を見直す
誤ったヘアケアは頭皮環境を悪化させ、頭皮の炎症や抜け毛のリスクを高める恐れがあります。特に市販のシャンプーを使用している方は要注意です。
市販のシャンプーには洗浄力の強い成分が含まれているため、頭皮を守るべき皮脂を根こそぎ洗い流し、頭皮環境の悪化を招く恐れがあります。
抜け毛や頭皮のかゆみが気になる方はアミノ酸系の薬用シャンプーなどを使用し、頭皮マッサージを行って頭皮環境の改善を図るのがおすすめです。
医療機関を受診する
上記のセルフケアに取り組んでも抜け毛が減らない方や治療する前から抜け毛がひどい方、もしくは初期脱毛が長く続く方は、医療機関を受診するのがおすすめです。
自分の判断で治療薬の服用を中断すると初期脱毛は治まるかもしれませんが、AGAにともなう薄毛が再び進行しはじめます。
費用と時間の無駄を避けるためにも、初期脱毛に関する不安や疑問がある方は、専門医の診察を受けるようにしてください。
AGA治療に関するご相談なら新宿AGAクリニックへ
AGA治療に関するご相談なら、新宿AGAクリニックにお任せください。新宿AGAクリニックでは600パターン以上の治療法を用意しているため、一人ひとりに適した治療法の提案が可能です。
AGA治療を始めると初期脱毛を引き起こす方もいますが、抜け毛が起こるのは治療薬の効果が現れている証拠でもあります。
新宿AGAクリニックではカウンセリングを無料で行っているため、治療中に初期脱毛が起こった際も安心です。AGA治療を検討している方は、メールか電話でお気軽にお問い合わせください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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