亜鉛で髪が太くなる・サラサラになるのはなぜ?効果や摂取量などを解説
髪の毛の成長をサポートするために必要な栄養素はタンパク質を始め多く存在していますが、なかでも亜鉛はアミノ酸の合成に欠かせない成分の1つとして知られています。
こちらの記事では、亜鉛が身体にとってどのような栄養素なのか、また髪の毛の成長にとってどんな効果があるのかについて解説しています。
記事の後半では効率的に亜鉛を摂取する方法や、気を付けるべき点も紹介しているため、薄毛に悩んでいる方は参考にしてください。
目次
亜鉛とはどのような栄養素なのか
亜鉛は体内に存在する多くの酵素の働きを活性化させるミネラルの一種で、さまざまな生理機能に関与することで知られています。
2020年に世界中で新型コロナウイルスが蔓延しましたが、亜鉛不足が新型コロナウイルスの重症化に関わるという話を聞いた記憶がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
亜鉛にはウイルスの複製を阻害する作用があるため、亜鉛が不足すると症状の重症化を招きやすくなるとの研究結果が出されています。
新型コロナウイルスの症状および後遺症の1つとして味覚異常があげられていますが、亜鉛には味蕾(みらい)の形態を維持する働きがあるため、不足することで味覚異常が出やすくなるのではないかと考えられています。
亜鉛が不足すると味覚異常だけでなく、皮膚炎や脱毛、免疫力の低下、貧血、食欲不振、生殖機能の低下などの症状も引き起こしやすくなるため注意が必要です
亜鉛が髪に与える効果とは
亜鉛が不足すると脱毛のリスクが増加するということでしたが、その理由として亜鉛が以下3つの働きを有することがあげられます。
- 髪の毛の主成分を合成する
- ヘアサイクルを整える
- AGAを予防する
ここでは、亜鉛が髪に与える3つの効果について解説します。
髪の毛の主成分を合成する
髪の毛がタンパク質から作られることはよく知られていますが、食品から摂取したタンパク質がそのまま髪の毛になる訳ではありません。
体内に入ったタンパク質はいったんアミノ酸レベルにまで分解されて吸収されたのち、身体の各部に必要なタンパク質へと再合成されます。
髪の毛はタンパク質の一種であるケラチンから作られますが、アミノ酸がケラチンへと再合成される際に重要な働きをするのが亜鉛です。 髪の毛の成分は大半がケラチンによって構成されるため、髪の毛の成長を促進するためには亜鉛の適切な摂取が欠かせません。
ヘアサイクルを整える
髪の毛が生えてから抜け落ちるまでをヘアサイクルと呼んでおり、大まかに以下の3期に分けられます。
成長期 | 毛母細胞が活発に分裂して髪の毛が太く・強く成長する時期 |
退行期 | 毛母細胞の分裂が鈍くなり、髪の毛の成長が滞る時期 |
休止期 | 毛母細胞の分裂が完全に停止し、頭皮から抜け落ちるのを待つ時期 |
亜鉛は毛母細胞の分裂にも深く関わっているため、亜鉛が不足するとヘアサイクルの成長期が短縮され、細くて弱々しい髪の毛が増えます。
AGAを予防する
男性に見られる代表的な薄毛がAGA(男性型脱毛症)です。AGAの発症メカニズムを簡単に解説すると以下の通りです。
- 男性ホルモンの一種であるテストステロンが、活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)へと変化する
- ジヒドロテストステロンが男性ホルモン受容体と結合し、サイトカインの一種であるTGF=βを生成する
- TGF-βによってヘアサイクルの成長期が短縮され抜け毛を引き起こす
テストステロンが活性の高いジヒドロテストステロンへと変化する際に、5α-リダクターゼと呼ばれる酵素が重要な働きをします。
亜鉛には5α-リダクターゼの働きを阻害する作用があるため、AGAの進行を遅らせる効果が期待されています。
亜鉛を摂取すると髪が増えた、サラサラになったと感じるのはなぜ?
亜鉛は髪の毛の成長に欠かせない栄養素の1つとされており、実際に亜鉛を継続的に摂取した方のなかには、髪の毛が増えたと実感したり、サラサラになったと感じたりする方もいらっしゃるようです。
ここでは、亜鉛の摂取で髪の毛が増えたと感じたり、サラサラになったと感じたりする理由についてご紹介します。
増えたと感じる理由
結論から申し上げますと、亜鉛を摂取したからといって髪の毛が増える訳ではありません。亜鉛に限った話ではなく、髪の毛に良いとされる食品や栄養素を積極的に摂取しても、髪の毛が生えると言った化学的根拠はありません。
しかし、亜鉛には髪の毛の成長をサポートする働きが期待されているため、抜け毛や薄毛の原因が亜鉛不足なのであれば、亜鉛の摂取によってヘアサイクルが改善し、抜け毛を予防する効果が出ているのかもしれません。
サラサラに感じる理由
髪の毛はタンパク質の一種であるケラチンから作られますが、ケラチンを構成するために亜鉛が必要なことは前述の通りです。
ケラチンは髪の毛の9割を占める成分のため、亜鉛が不足するとケラチンの再合成が滞り、ハリやツヤのある髪の毛が育ちにくくなります。
亜鉛の摂取によって髪の毛がさらさらに感じるのは、ケラチンの再合成が順調に行われ、ヘアサイクルが正常化したからではないかと考えられます。
亜鉛の摂取で気をつけること
亜鉛は髪の毛の成長をサポートするだけでなく、代謝や味蕾の形態維持、性腺の発育・機能保持、DNAの合成などさまざまな働きがあり、人間の生命活動に必須のミネラルです。成人が1日あたりに摂取するべき亜鉛の目安量は以下の通りです。
(男性)
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 耐用上限量 |
20~29歳 | 9㎎ | 11㎎ | 40㎎ |
30~64歳 | 9㎎ | 11㎎ | 45㎎ |
65~74歳 | 9㎎ | 11㎎ | 40㎎ |
75歳以上 | 9㎎ | 10㎎ | 40㎎ |
(女性)
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 耐用上限量 |
20~74歳 | 7㎎ | 8㎎ | 35㎎ |
75歳以上 | 6㎎ | 8㎎ | 30㎎ |
妊婦 | +1㎎ | +2㎎ | |
授乳婦 | +3㎎ | +4㎎ |
参考:健康長寿ネット
では、亜鉛を過剰に摂取したり、反対に摂取量が不足したりするとどうなるのでしょうか。
亜鉛を過剰摂取した場合
亜鉛を耐容上限量よりも過剰に摂取した場合、銅欠乏症や貧血、胃の不調といった健康被害を生じやすいことが分かっています。
通常の食事で亜鉛を過剰に摂取することは考えにくいのですが、サプリメントを利用している方は耐容上限量に注意して服用する必要があります。
亜鉛が不足した場合
亜鉛の摂取量が慢性的に不足している場合、タンパク質やDNAの合成が滞るため、子どもの成長に悪影響をおよぼす可能性があります。
また味蕾の形態を維持する働きが低下するため、味覚障害を引き起こすことも珍しくありません。その他にも貧血や食欲不振、脱毛、低アルブミン血症、神経感覚障害といったさまざまなリスクがあるため注意が必要です。
亜鉛を摂取する方法
亜鉛に限らず身体に必要な栄養素は、毎日継続的に摂取することが重要です。亜鉛を日常的に摂取する主な方法は以下の2つです。
- 日々の食事で亜鉛を取り入れる
- 効率よく摂取するならサプリメントがおすすめ
ここでは、亜鉛を摂取する2つの方法について解説します。
日々の食事で亜鉛を取り入れる
亜鉛を摂取するのであれば、毎日の食事メニューを工夫すると良いでしょう。
亜鉛は果物や野菜ではなく肉類や魚類、穀類、鶏卵などに多く含まれています。以下の表でどのような食品に亜鉛が多く含まれているか紹介します。
(魚介類・肉類)
食品名 | 可食部100㎎あたりの含有量 |
生牡蠣(なまがき) | 14.0㎎ |
カタクチイワシの煮干し | 7.2㎎ |
豚レバー(生) | 6.9㎎ |
牛肩ロース(生) | 6.4㎎ |
するめいか | 5.4㎎ |
牛ひき肉(生) | 5.2㎎ |
牛ランプ肉(生) | 4.1㎎ |
牛もも肉(生) | 3.9㎎ |
牛サーロイン(生) | 3.9㎎ |
(乳製品・豆類)
食品名 | 可食部100㎎あたりの含有量 |
パルメザンチーズ | 7.3㎎ |
レンズ豆 | 4.8㎎ |
きな粉 | 4.1㎎ |
チェダーチーズ | 4.0㎎ |
ゴーダチーズ | 3.6㎎ |
プロセスチーズ | 3.2㎎ |
ひよこ豆 | 3.2㎎ |
カマンベールチーズ | 2.8㎎ |
ひよこ豆 | 1.4㎎ |
(野菜・海藻類)
食品名 | 可食部100㎎あたりの含有量 |
焼きのり | 3.6㎎ |
カットわかめ | 2.8㎎ |
タケノコ | 1.3㎎ |
マッシュルーム | 1.0㎎ |
スイートコーン缶 | 1.0㎎ |
シイタケ | 0.9㎎ |
ブロッコリー | 0.8㎎ |
ゴボウ | 0.8㎎ |
(穀類・ナッツ類)
食品名 | 可食部100㎎あたりの含有量 |
松の実 | 6.0㎎ |
ゴマ | 5.9㎎ |
カシューナッツ | 5.4㎎ |
アーモンド | 3.7㎎ |
ライ麦(全粒粉) | 3.5㎎ |
落花生 | 3.0㎎ |
強力粉 | 3.0㎎ |
キヌア(玄穀) | 2.8㎎ |
以上が亜鉛を多く含む主な食品ですが、クエン酸やビタミンCを同時に摂取することで、亜鉛の吸収率をより高めることが期待できます。
亜鉛と食べ合わせが悪い食品に気をつける
亜鉛を効率的に摂取したいのであれば、食べ合わせに注意する必要があります。例えばタンニンには亜鉛の吸収効率を下げる働きがあるため、コーヒーや緑茶などは同時に摂らない方が良いでしょう。
また、リン酸も亜鉛の吸収効率を下げるとされているため、亜鉛を摂取したいときには玄米やカニ、イクラ、凍り豆腐などの加工食品は避けるのが無難です。
効率良く摂取するならサプリメントがおすすめ
亜鉛は多くの食品に含まれていますが、効率良く摂取したい方や、食事バランスが乱れがちな方にはサプリメントの摂取がおすすめです。
DHCやディアナチュラなどのサプリを飲む場合は成分を確認する
サプリメントで亜鉛を摂取するのであれば、成分をしっかり確認することが重要です。サプリメントのなかには亜鉛以外の成分が含まれていることもあるため、髪の毛にどのような影響をおよぼすのかチェックしておく必要があります。
また、亜鉛の過剰摂取は銅欠乏症や貧血、胃の不調といった健康被害を招く恐れがあるため、耐容上限量をチェックして服用しましょう。
AGA治療に関するご相談なら新宿AGAクリニックへ
AGAなど薄毛治療に関するご相談なら、新宿AGAクリニックまでお問い合わせください。亜鉛には髪の毛の成長をサポートする働きが期待されていますが、あくまでも育毛効果であり発毛効果ではありません。
実際に抜け毛が起こっているのに食習慣の改善だけで対応した場合、薄毛の進行を抑えられない可能性があります。
新宿AGAクリニックでは男性だけでなく、女性の薄毛治療も専門的に行っているため、髪の毛に関するお悩みがある方は、無料カウンセリングでお気軽にお問い合わせください。
【 経歴 】
平成14年 大阪医科大学卒業
平成14年 大阪医科大学形成外科
平成16年 城山病院形成外科・美容外科
平成17年 大阪医科大学救急医療部(形成外科より出向)
平成18年 大手美容外科形成外科部長、多数の美容外科、形成外科で毛髪治療、植毛治療を経験
平成28年 新宿AGAクリニック院長
【 資格 】
日本美容外科学会専門医、日本麻酔科学会認定医、麻酔科標傍医、日本レーザー医学会認定医
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